隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
*
屋敷に戻り、コンサバトリーでセイラとダリオスはお茶をしながら読書をしていた。二人がけのソファに座っているが、二人の距離はいつもより離れている。ダリオスはお茶に一度も手をつけず、本も読んでいるようで実際は読んでいない。ずっと考え事をしているようだ。
(ダリオス様、屋敷に戻ってからずっと真剣な顔をなさっているわ。本もページが進んでいないようだし)
本来であれば、二人で街の中を歩きダリオスにポリウスをもっと知ってもらおうと思っていた。だが、あんなことがあったのだ、当分は街中を気軽に出歩くこともできないだろう。
「ダリオス様、申し訳ありません。私が街を歩こうなんて言ったばかりに、あんなことになってしまって」
セイラが申し訳なさそうに謝ると、ダリオスはハッとして慌てたように本を閉じ、セイラのすぐ隣まで距離を縮める。
「セイラが謝ることじゃない。むしろ、オエルドの人間が入り込んでいると知れたんだ、よかったよ。……!ああ、でも、二人で街を歩けなかったことがよかったとかではなくて」
ダリオスが慌ててそう言うと、セイラはフッと穏やかに微笑む。それを見て、ダリオスも肩の力が抜けたように微笑んだ。
(よかった、少し力が抜けたみたい)
「わかっています。だからそんなに慌てないでください。でも、何か気がかりなことがあるなら、私でよければ話してくださいね。一人で考え込むより、吐き出したほうが良い考えが浮かぶこともありますから」
セイラがそう言うと、ダリオスは目を見開いてから眉を下げてまた優しく微笑んだ。
「ありがとう、確かにそうだな。でも、今はセイラとの大事な時間だ。この時間も、俺にとってはかけがえのない時間だから」
そう言って、ダリオスはセイラの腰に手を回し、もう片方の手でセイラの頬を優しく撫でる。そして、セイラの頬に自分の頬を擦り寄せた。
(ダリオス様、もしかしてはぐらかしているのかしら?それとも、甘えている?私には話しにくいことなのかも知れない。お仕事のことだとしたら私が聞いてもわからないことかも知れないし、仕方ないことかも知れないけど……)
役に立ちたいのに、役に立てない自分がもどかしい。だが、今の自分にできることはただダリオスに寄り添うことだけだ。いつか自分にも話せるようになった時には、必ず話してくれる。ダリオスはそういう人だとセイラは確信していた。だからこそ、今はただ、ダリオスに静かに寄り添うだけだ。
頬を擦り寄せたダリオスは、セイラの瞳をじっと見つめ、そのまま唇を重ねる。
(ダリオス様の肩の荷が、せめて今だけでも軽くなりますように)
そう思いながら、セイラはダリオスが求めるままに口づけを受け止めた。
屋敷に戻り、コンサバトリーでセイラとダリオスはお茶をしながら読書をしていた。二人がけのソファに座っているが、二人の距離はいつもより離れている。ダリオスはお茶に一度も手をつけず、本も読んでいるようで実際は読んでいない。ずっと考え事をしているようだ。
(ダリオス様、屋敷に戻ってからずっと真剣な顔をなさっているわ。本もページが進んでいないようだし)
本来であれば、二人で街の中を歩きダリオスにポリウスをもっと知ってもらおうと思っていた。だが、あんなことがあったのだ、当分は街中を気軽に出歩くこともできないだろう。
「ダリオス様、申し訳ありません。私が街を歩こうなんて言ったばかりに、あんなことになってしまって」
セイラが申し訳なさそうに謝ると、ダリオスはハッとして慌てたように本を閉じ、セイラのすぐ隣まで距離を縮める。
「セイラが謝ることじゃない。むしろ、オエルドの人間が入り込んでいると知れたんだ、よかったよ。……!ああ、でも、二人で街を歩けなかったことがよかったとかではなくて」
ダリオスが慌ててそう言うと、セイラはフッと穏やかに微笑む。それを見て、ダリオスも肩の力が抜けたように微笑んだ。
(よかった、少し力が抜けたみたい)
「わかっています。だからそんなに慌てないでください。でも、何か気がかりなことがあるなら、私でよければ話してくださいね。一人で考え込むより、吐き出したほうが良い考えが浮かぶこともありますから」
セイラがそう言うと、ダリオスは目を見開いてから眉を下げてまた優しく微笑んだ。
「ありがとう、確かにそうだな。でも、今はセイラとの大事な時間だ。この時間も、俺にとってはかけがえのない時間だから」
そう言って、ダリオスはセイラの腰に手を回し、もう片方の手でセイラの頬を優しく撫でる。そして、セイラの頬に自分の頬を擦り寄せた。
(ダリオス様、もしかしてはぐらかしているのかしら?それとも、甘えている?私には話しにくいことなのかも知れない。お仕事のことだとしたら私が聞いてもわからないことかも知れないし、仕方ないことかも知れないけど……)
役に立ちたいのに、役に立てない自分がもどかしい。だが、今の自分にできることはただダリオスに寄り添うことだけだ。いつか自分にも話せるようになった時には、必ず話してくれる。ダリオスはそういう人だとセイラは確信していた。だからこそ、今はただ、ダリオスに静かに寄り添うだけだ。
頬を擦り寄せたダリオスは、セイラの瞳をじっと見つめ、そのまま唇を重ねる。
(ダリオス様の肩の荷が、せめて今だけでも軽くなりますように)
そう思いながら、セイラはダリオスが求めるままに口づけを受け止めた。