隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
セイラがそう言って小さく頭を下げる。そんなセイラを、ダリオスは労わるようなまなざしで見つめ、そっと背中を手で支えた。国王やアルバート、バルトもクレアもガイズも、皆セイラとルシアをただ静かに見守っていた。
「……何よ何よ何よ!馬鹿にしないで!向き合わなくてごめんなさい?ふざけるな!お前みたいな地味で目立たない根暗なやつになんで謝られなきゃいけないのよ!どうして私だけじゃないのよ!どうして双子なのよ!私だけでよかったのよ、お前なんかいなくても、聖女としての名誉も力も結婚相手も、全部私一人が得られればよかったのよ!あんたなんか!いなきゃよかったのに!」
ルシアの怒号が響いた瞬間、ダリオスとガイズからドンッと重苦しい殺気のような空気が発せられる。二人は、まるで夜叉のようにルシアを睨みつけていた。だが、ルシアはそんな二人などお構いなしにセイラへ罵倒を浴びせ続ける。
「呪ってやる、あんたなんか呪ってやるんだから!レインダムで聖女気取りでいい気になってられるのも今のうちよ!どんな手を使っても蹴落としてやるんだから!地を這って土を舐めるような思いを絶対にさせてやる!」
「いい加減にしないか!」
突然、国王の声が鳴り響いた。さすがのルシアも驚いて目を見開き国王を見つめる。国王は、いつものように開いているかわからないほどの細い目でルシアを見つめているが、その表情は険しい。
「よいか、ここはレインダムの謁見の間だ。元ポリウスの堕落した元聖女が自分勝手にわめいていい場所ではない!そして、セイラはレインダムの聖女であり、最強の騎士であるダリオスの妻だ。そのセイラを侮辱するような真似は国王である儂が許さん。元聖女ルシアよ、地を這い土を舐めるような思いをするのはお前のほうだ、心しておけ」
国王は重苦しく響く声でルシアへ宣告する。国王の雰囲気と声に圧倒され、ルシアはもう声が出ない。
「陛下、お許しが出るのであればこの女の首を私が落とします。今ここで、すぐに。元ポリウスの騎士団長として、元聖女の罪をこの手で裁く責任があります。どうかお許しをいただけませんでしょうか」
ガイズがそう言って胸に片手を当てて小さくお辞儀をする。言葉も仕草も丁寧だが、明らかに本気だ。そのガイズの言葉に、ルシアはひっと小さく悲鳴を上げた。
(そんな、ガイズ!今すぐにルシアの首をはねるだなんて……)
ルシアのしたことは到底許せることではない。だが、ガイズがわざわざ手を下す必要はないし、セイラはルシアに今すぐ死んでほしいとも思っていないのだ。セイラが驚いてガイズと国王を見つめると、国王は顎を片手でゆっくりとなでながらふむ、とつぶやいた。
「ガイズよ、そなたの怒りは重々承知じゃ。元ポリウスの騎士団長としての責務を果たしたいと言う気持ちもよくわかる。だが、そこにいるのは、お前が手を下す価値もない女だ。その手をこんな女のために汚す必要はない。そなたのその手には、レインダムのためにこれからたくさん力を奮ってもらわねばならぬ。それに、何よりもそなたがその女の首をはねることをセイラは望まないであろうからな」
「……何よ何よ何よ!馬鹿にしないで!向き合わなくてごめんなさい?ふざけるな!お前みたいな地味で目立たない根暗なやつになんで謝られなきゃいけないのよ!どうして私だけじゃないのよ!どうして双子なのよ!私だけでよかったのよ、お前なんかいなくても、聖女としての名誉も力も結婚相手も、全部私一人が得られればよかったのよ!あんたなんか!いなきゃよかったのに!」
ルシアの怒号が響いた瞬間、ダリオスとガイズからドンッと重苦しい殺気のような空気が発せられる。二人は、まるで夜叉のようにルシアを睨みつけていた。だが、ルシアはそんな二人などお構いなしにセイラへ罵倒を浴びせ続ける。
「呪ってやる、あんたなんか呪ってやるんだから!レインダムで聖女気取りでいい気になってられるのも今のうちよ!どんな手を使っても蹴落としてやるんだから!地を這って土を舐めるような思いを絶対にさせてやる!」
「いい加減にしないか!」
突然、国王の声が鳴り響いた。さすがのルシアも驚いて目を見開き国王を見つめる。国王は、いつものように開いているかわからないほどの細い目でルシアを見つめているが、その表情は険しい。
「よいか、ここはレインダムの謁見の間だ。元ポリウスの堕落した元聖女が自分勝手にわめいていい場所ではない!そして、セイラはレインダムの聖女であり、最強の騎士であるダリオスの妻だ。そのセイラを侮辱するような真似は国王である儂が許さん。元聖女ルシアよ、地を這い土を舐めるような思いをするのはお前のほうだ、心しておけ」
国王は重苦しく響く声でルシアへ宣告する。国王の雰囲気と声に圧倒され、ルシアはもう声が出ない。
「陛下、お許しが出るのであればこの女の首を私が落とします。今ここで、すぐに。元ポリウスの騎士団長として、元聖女の罪をこの手で裁く責任があります。どうかお許しをいただけませんでしょうか」
ガイズがそう言って胸に片手を当てて小さくお辞儀をする。言葉も仕草も丁寧だが、明らかに本気だ。そのガイズの言葉に、ルシアはひっと小さく悲鳴を上げた。
(そんな、ガイズ!今すぐにルシアの首をはねるだなんて……)
ルシアのしたことは到底許せることではない。だが、ガイズがわざわざ手を下す必要はないし、セイラはルシアに今すぐ死んでほしいとも思っていないのだ。セイラが驚いてガイズと国王を見つめると、国王は顎を片手でゆっくりとなでながらふむ、とつぶやいた。
「ガイズよ、そなたの怒りは重々承知じゃ。元ポリウスの騎士団長としての責務を果たしたいと言う気持ちもよくわかる。だが、そこにいるのは、お前が手を下す価値もない女だ。その手をこんな女のために汚す必要はない。そなたのその手には、レインダムのためにこれからたくさん力を奮ってもらわねばならぬ。それに、何よりもそなたがその女の首をはねることをセイラは望まないであろうからな」