隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
そう言って、ダリオスはセイラの腰に手を回しグッと引き寄せる。
「俺はセイラ自身に惹かれ、惚れた。聖女として国と国民を思う気持ち、ひたむきさ、自分よりも他人を優先してしまう性分、どんなことにも良い面を見出そうとする姿。セイラがいるだけで、セイラの周囲がふわりと明るく優しくなる。誰もがセイラを慕い、セイラの幸せを願っている。そんな彼女を、一人の女性として好きになるなという方が無理だ」
キッパリとそう言い切るダリオスに、グレイヴス公爵は半ば呆れたような顔をしているが、口角はほんの少し上がっていた。
(ダ、ダリオス様、そんな風に思ってくださるのはすごく嬉しいですけど、人様の前でそんなはっきりと言われるとすごく恥ずかしい……!)
セイラが顔を真っ赤にして俯いていると、ユリアは目を見張りワナワナと震えている。
「ユリア嬢。君がどうしてこんなにも俺に執着するのか理解し難いと思っていたが、ようやくわかったよ。君の家は何年も財政難だそうだな。俺に近づき俺と結婚すれば、傾いた家を再建できると踏んだ」
ダリオスの言葉に、ユリアはカッとなってグレイヴスを睨みつける。だが、グレイヴスは渋い顔で違うと言うように首を振った。
「グレイヴス公爵からは何も聞いていない、俺が独自に調査したことだ。君は確かに俺に好意を寄せていてくれた時期があったようだが、今は違うだろう。俺に好意があるわけじゃなく、傾いた家を再建するために俺を利用しようとした。もちろん、君をけしかけたのはグレイヴス公爵なのだろうが、話に乗ったのはそれが一番の理由だろう」
(そんな、ユリア様はダリオス様をずっと慕っていたわけではなかったの?本当に?)
セイラが驚いた顔でユリアを見つめると、ユリアはその視線に気づいて目を見開き、すぐに視線を逸らした。ドレスの前で握りしめているユリアの両手は、心なしか小さく震えている。
「家を建て直すために結婚を考えているのなら、今回君をけしかけたグレイヴス公爵に頼んで紹介して貰えばいい。それくらいの償いはするでしょう、グレイヴス公爵」
「……そうですな。こちらで良さそうな家柄の令息を何人かご紹介しましょう」
グレイヴス公爵がそう言うと、ユリアはドレスをぎゅっと握り締める。そして、顔を上げてダリオスを見つめる。その瞳はほんの少し潤んでいるように見えた。
「わ、私は……!」
ユリアの声に、ダリオスがユリアへ視線を向ける。そのダリオスの瞳を見た瞬間、ユリアは言葉を失った。ダリオスのエメラルド色の瞳は真っ直ぐにユリアを見ている。そのあまりにも強すぎる瞳に、ユリアはもう何も言えなくなってしまった。
「……なんでも、ありません」
ユリアはそう言って静かに、深々とお辞儀をした。
「行こうか、セイラ」
「えっ、あ、はい……」
ダリオスに促されるようにセイラは近くにあった馬車へ乗り込む。馬車が走り出しても、馬車の中からセイラはユリアを心配そうにずっと見つめていた。
「俺はセイラ自身に惹かれ、惚れた。聖女として国と国民を思う気持ち、ひたむきさ、自分よりも他人を優先してしまう性分、どんなことにも良い面を見出そうとする姿。セイラがいるだけで、セイラの周囲がふわりと明るく優しくなる。誰もがセイラを慕い、セイラの幸せを願っている。そんな彼女を、一人の女性として好きになるなという方が無理だ」
キッパリとそう言い切るダリオスに、グレイヴス公爵は半ば呆れたような顔をしているが、口角はほんの少し上がっていた。
(ダ、ダリオス様、そんな風に思ってくださるのはすごく嬉しいですけど、人様の前でそんなはっきりと言われるとすごく恥ずかしい……!)
セイラが顔を真っ赤にして俯いていると、ユリアは目を見張りワナワナと震えている。
「ユリア嬢。君がどうしてこんなにも俺に執着するのか理解し難いと思っていたが、ようやくわかったよ。君の家は何年も財政難だそうだな。俺に近づき俺と結婚すれば、傾いた家を再建できると踏んだ」
ダリオスの言葉に、ユリアはカッとなってグレイヴスを睨みつける。だが、グレイヴスは渋い顔で違うと言うように首を振った。
「グレイヴス公爵からは何も聞いていない、俺が独自に調査したことだ。君は確かに俺に好意を寄せていてくれた時期があったようだが、今は違うだろう。俺に好意があるわけじゃなく、傾いた家を再建するために俺を利用しようとした。もちろん、君をけしかけたのはグレイヴス公爵なのだろうが、話に乗ったのはそれが一番の理由だろう」
(そんな、ユリア様はダリオス様をずっと慕っていたわけではなかったの?本当に?)
セイラが驚いた顔でユリアを見つめると、ユリアはその視線に気づいて目を見開き、すぐに視線を逸らした。ドレスの前で握りしめているユリアの両手は、心なしか小さく震えている。
「家を建て直すために結婚を考えているのなら、今回君をけしかけたグレイヴス公爵に頼んで紹介して貰えばいい。それくらいの償いはするでしょう、グレイヴス公爵」
「……そうですな。こちらで良さそうな家柄の令息を何人かご紹介しましょう」
グレイヴス公爵がそう言うと、ユリアはドレスをぎゅっと握り締める。そして、顔を上げてダリオスを見つめる。その瞳はほんの少し潤んでいるように見えた。
「わ、私は……!」
ユリアの声に、ダリオスがユリアへ視線を向ける。そのダリオスの瞳を見た瞬間、ユリアは言葉を失った。ダリオスのエメラルド色の瞳は真っ直ぐにユリアを見ている。そのあまりにも強すぎる瞳に、ユリアはもう何も言えなくなってしまった。
「……なんでも、ありません」
ユリアはそう言って静かに、深々とお辞儀をした。
「行こうか、セイラ」
「えっ、あ、はい……」
ダリオスに促されるようにセイラは近くにあった馬車へ乗り込む。馬車が走り出しても、馬車の中からセイラはユリアを心配そうにずっと見つめていた。