隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
 セイラが返事をすると、ガイズは他の騎士を連れて周囲を散策しはじめた。

(ガイズ、何か言っていたような気がするけど、気のせいかしら?それに、なんだか少し不機嫌そうだったけれど)

 何かガイズの気に触ることを言ってしまったのだろうか。そもそも、浄化をしに来ているのにダリオスの惚気話をしているようになってしまっていた気がする。もしかしたら、任務の最中なのに浮かれていると思われてしまったのかも知れない。

(ダメね、今は任務に集中しないと。私は、浄化をしに来たのだから)

 グッと手を握り締めて、セイラは真剣な顔で周囲を見渡した。

「セイラ様、近くに魔獣はいないようです。浄化するのであれば、今のうちに」
「わかりました」

 ガイズの報告を聞いて、セイラはしっかりと頷き、両手を胸の前で握り締めて目を閉じる。ルルゥは、念の為にセイラの周囲に防御魔法を張った。
 セイラが聖女の祈りを行うと、セイラから聖なる光が土地全体に広がっていく。土地に蔓延していた瘴気が徐々に薄くなり、光が消えていくとともに瘴気もすっかり消え去っていった。

「やっぱりセイラ様の浄化はいつ見ても素晴らしいですね!」

 ルルゥが目を輝かせてそう言うと、ガイズも他の騎士たちも大きく頷く。

「セイラ様、ここの浄化は終わりましたので、一度城へ戻りましょう。もうポリウスの城ではなくレインダムのものになっていますので、転移魔法は開通しています」
「わかりました。ルルゥ、お願いね」
「任せてください!それでは皆さん、私の近くまで集まってくれますか?」

 ルルゥがそう言うと、セイラの隣にガイズがきてセイラの体をそっと片腕で覆う。

「失礼、転移魔法の際に体制を崩してしまっては大変ですので」
「あ、ありがとうございます」

 戸惑いつつもセイラが微笑みながら礼を言うと、ガイズの腕の力がほんの少しだけ強まる。そんなガイズとセイラを見て、ルルゥは一瞬目を細めるがすぐに笑顔で声を上げる。

「それでは、転移魔法発動します!酔っ払わないように気をつけてくださいね!」

 ルルゥがそう言うと、ルルゥたちの足元に大きな魔法陣が浮かび上がり、魔法陣が光輝く。そして、セイラたちは光に包まれて消えた。

< 84 / 120 >

この作品をシェア

pagetop