第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
木の上から、ダンスの授業を見下ろしていた。
あいつがいる。

……お嬢さまをこんな場所に連れてきた張本人。
あいつがいなければ、お嬢さまは苦しまなかった。
そう思うだけで胸の奥がざわつく。

無駄にきらきらして、周りに人を集めて。
そういうところが気に入らない。

その横にレイもいた。
あの鋭い眼鏡越しに、こっちを一瞬だけ見た。
気づかれてる。

でも何も言わないのは、俺が“まだ”動く気がないと分かっているからだろう。

…今のところは。

あいつがお嬢さまの手を取るのかと思った瞬間、
別の女が割り込んだ。
余計なことを。

お嬢さまはレイの方へ歩いていく。

その瞬間の王子の顔。
あれは、妬いてる。

そりゃそうだ。
あんたがさっさと手を取らないから。

「バカだなぁ」

思わず声がでる。
< 152 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop