第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
アリス、15歳。
ティアナ、12歳。
あの頃の私は、
すでに「選ばれる」ということの重さを知っていた。
私には兄が2人いる。
父は王国騎士団の人間で、
兄たちも当然のように試験を受けた。
魔宝石選定判定。
——だが、2人とも通らなかった。
透明なまま、
何の色も宿らず、
何の力も与えられなかった。
父は、露骨に落胆していた。
「仕方ない」と口では言いながら、
その背中は、明らかに失望していた。
母は、柔らかく笑って言った。
「そんなこともあるわ」
その言葉に、
兄たちは、どこか救われたような顔をしていた。
そして私は。
王国の侍女になるための試験を、
半ば当然のように受けさせられた。
——ついでに。
「試しに」と、
魔宝石選定判定も受けさせられた。
まさか、とは思った。
だが。
その宝石は、
ゆっくりと光を帯びた。
ムーンストーン。
淡く、静かな月の色。
父は、はっきりと喜んだ。
誇らしげに。
まるで、待ち望んでいたかのように。
けれど。
母は、笑わなかった。
兄たちも、目を伏せたままだった。
その時、私は初めて知った。
——選ばれることは、
必ずしも祝福ではないのだと。
誰かの期待であり、
誰かの失望であり、
誰かの居場所を奪うことでもあるのだと。
ティアナ、12歳。
あの頃の私は、
すでに「選ばれる」ということの重さを知っていた。
私には兄が2人いる。
父は王国騎士団の人間で、
兄たちも当然のように試験を受けた。
魔宝石選定判定。
——だが、2人とも通らなかった。
透明なまま、
何の色も宿らず、
何の力も与えられなかった。
父は、露骨に落胆していた。
「仕方ない」と口では言いながら、
その背中は、明らかに失望していた。
母は、柔らかく笑って言った。
「そんなこともあるわ」
その言葉に、
兄たちは、どこか救われたような顔をしていた。
そして私は。
王国の侍女になるための試験を、
半ば当然のように受けさせられた。
——ついでに。
「試しに」と、
魔宝石選定判定も受けさせられた。
まさか、とは思った。
だが。
その宝石は、
ゆっくりと光を帯びた。
ムーンストーン。
淡く、静かな月の色。
父は、はっきりと喜んだ。
誇らしげに。
まるで、待ち望んでいたかのように。
けれど。
母は、笑わなかった。
兄たちも、目を伏せたままだった。
その時、私は初めて知った。
——選ばれることは、
必ずしも祝福ではないのだと。
誰かの期待であり、
誰かの失望であり、
誰かの居場所を奪うことでもあるのだと。