第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
だが、男は震えながら、ぽつりと呟いた。

「でも……なんで伯爵家のお嬢様が……
こんな暗殺者みたいな男を連れ歩いてるんだよ……」

その一言で、空気が変わった。

「……失礼だな。こいつ」

テオの声が、氷点下まで落ちる。

紅い魔力が、ぎり、とさらに強く締め上げた。

「テオ」

私は名前を呼んだ。

「……はーい」

不満げに返事をしながらも、魔力の締め付けを緩める。

――本当に、危なっかしい。

でも。

この人が私の味方でよかったと、
今だけは心の底から思ってしまった。

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