完璧王子×天然お嬢様~政略結婚のお相手は、喧嘩も強いんです~
その時、数人の男たちが私達の横を通りすぎていく。
「おい、腕やられてるぞ!?」
「あのクソガキにやれたんだ、見つけたらただじゃおかねぇ!」
バタバタと遠ざかる足音がする。
――なにっ!?喧嘩!?
少しして、その人が体を離してくれた。
そして辺りを見回して
「行ったな……」
と、呟く。
私よりほんの少し背が高くて、まだ幼さが残る顔立ちだった。
けれど、頬には血が滲み、腕には深い傷があった。
私を見るなり、少年は頭を下げる。
「巻き込んでごめん」
そのまっすぐな態度に、不思議と怖さは感じなかった。
「あの……怪我してますよね?」
私が頬に手を伸ばした瞬間、少年が顔を背ける。
「……大丈夫だから」
そう言われても気になってしまう。
持っていた巾着からスカーフを出し、震える手で結ぶ。
「腕から血が出てます……少し、じっとしててください」
少年は何も言わず、されるがままになっていた。
頭上では次々と花火が上がる。
「ごめん」と、彼が小さく呟いているのが聞こえた。
その声はどこか泣きそうで、今にも消えてしまいそうな声だった。
「あの……誰かに追われてるんですか?警察に……」
「大丈夫。それより……あなたは一人でこんな路地裏に?」