きみが春なら
Side.M
果物の乗った皿を持ちハルの部屋へ戻ると、扉が開いていた。
あれ、と思うと同時に隙間からロレンツォ王子の姿が見えた。
「っ、」
王子はハルを抱きしめた後、信じ難いほど穏やかな顔でベッドへ寝かせてやっていた。
気付かれぬよう踵を返し、時間つぶしに廊下を歩く。
でも長くはそうしていられなかった。
「あー……」
壁に背を付けしゃがみ込み、ぐしゃぐしゃ頭を掻く。
「もう……」
痛かった。切なかった。
王子に大切にされるのは彼女にとって良い事だと。
あんなに優しい顔で見つめられるのは幸せな事なんだと。
わかっているのに苦しかった。
膨らむばかりの想い。
どこまでいっても届かないのに。
あれ、と思うと同時に隙間からロレンツォ王子の姿が見えた。
「っ、」
王子はハルを抱きしめた後、信じ難いほど穏やかな顔でベッドへ寝かせてやっていた。
気付かれぬよう踵を返し、時間つぶしに廊下を歩く。
でも長くはそうしていられなかった。
「あー……」
壁に背を付けしゃがみ込み、ぐしゃぐしゃ頭を掻く。
「もう……」
痛かった。切なかった。
王子に大切にされるのは彼女にとって良い事だと。
あんなに優しい顔で見つめられるのは幸せな事なんだと。
わかっているのに苦しかった。
膨らむばかりの想い。
どこまでいっても届かないのに。