君に一生分の休みを。

銀の朝に笑う

翌朝。雪に覆われた寺子屋の縁側を、柔らかな朝日が包んでいた。
「……先生。本当に、白髪になっちゃいましたね」
サクラが申し訳なさそうに、久我の銀色の髪を指先で梳く。
久我は、その手を力強く握り返した。
「構わんと言っただろう。君を繋ぎ止めた勲章だ。……それに、君のいない世界をこれ以上長く生きるほど、私はお人好しではないからな」
久我はサクラの肩に頭を預け、穏やかな風の音を聞いた。
もう、彼女の輪郭が透けることはない。指先から伝わる確かな体温が、彼女がここにいる何よりの証拠だった。
「……先生。お休み、終わりじゃなかったんですね」
「ああ。終わらせん。……これから、二人で無期限の休暇だ」
二人の「有給休暇」は、今、本当の意味で始まったのだ。


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