第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
12章

帰還と甘え

王妃教育――
あれは、ただの教育の場なんかじゃなかった。
選ばれるためでもない。
試される場だった。

そして、ジョルジュ陛下がディランへ向けたあの瞳。
あれは……“器”として見定める目。
以前私に向けられた視線と、まったく同じだった。

――そして私は、帰ってきた。
みんなのもとへ。

「お嬢さーん……おっかえりー!!」

コーラルオレンジの髪を揺らしたレオが大きな手をぶんぶんと振る。

「ただいま」

その一言だけなのに、胸の奥がふっと緩んだ。

「お嬢様、おかえりなさい」

銀髪に水色の瞳のセナが、いつもより少し柔らかい笑みを向けてくれる。

――帰ってきた。

「お嬢様。ご苦労様でした。大変でしたね」

薄栗色の髪と灰色の瞳のユウリも変わらぬ美しい所作で一礼した。

「ええ……色々と」

短く返すと、自然と息が深くなる。

「とりあえず――みんな、集まって」

私は皆を呼び集めた。

ユウリ、セナ、テオ、レオ、ルイ。
アレン、ロベルト、アリス。
そしてルーク団長、オリバー副団長、エリックまで揃ってくれた。

これだけの顔ぶれが一堂に会するのは、本当に久しぶりだ。

――深く息を吸う。

「聞いてほしいことがある」

その言葉に、自然と視線が集まった。

第5部、開幕。
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