第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
ルイと思い出のマカロン
ルイside
潜入用の服の試着と、そのまま準備も兼ねて伯爵家を訪れた。
屋敷の一室には布や小物が整然と並び、どこか作戦前の緊張感が漂っている。
……でも。
ずっと気になっていたことを、ここで聞かないわけにはいかなかった。
「ねぇ、ティアナちゃん」
「なに?」
鏡の前で袖を整えていた彼女が、何気なく振り返る。
「王子と、どうやって仲直りしたの?」
一拍おいて、にやり。
「……実行したの?」
「ぶっ――!」
次の瞬間、ティアナちゃんは盛大に咳き込んだ。
あ、やっぱり。
「お嬢様、汚いです」
呆れた声とともに、アリスがすっと前に出て、何事もなかったようにハンカチを差し出す。
「……あ、ありがとう」
赤くなりながら受け取るその様子が、もう答えみたいなものだった。
「そ、それは……ひみつで……」
視線が泳ぎ、耳まで真っ赤。
「ふふ、そっか〜」
私は肩をすくめて笑う。
「でも、よかった。ちゃんと仲直りできて」
その言葉に、ティアナちゃんは少しだけ表情を緩め、小さく、でも確かに頷いた。
……うん。
これはもう、大丈夫そうね。
「それにしても……いつも完成度が高いよね。ルイが作るものって」
鏡越しにそう言われ、私は小さく笑った。
「ありがとう。でも、それはティアナちゃんが――私を見つけてくれたおかげ」
言葉にすると、胸の奥がじんわり温かくなる。
ほんとうに、頭が上がらない。
彼女が進むと決めた道を、私も迷わず進む。
それくらいの覚悟を、あの人は知らないうちにくれた。
……そして。
ふと意識が遠のく。
私は、ティアナちゃんとの出会いを思い出していた。
潜入用の服の試着と、そのまま準備も兼ねて伯爵家を訪れた。
屋敷の一室には布や小物が整然と並び、どこか作戦前の緊張感が漂っている。
……でも。
ずっと気になっていたことを、ここで聞かないわけにはいかなかった。
「ねぇ、ティアナちゃん」
「なに?」
鏡の前で袖を整えていた彼女が、何気なく振り返る。
「王子と、どうやって仲直りしたの?」
一拍おいて、にやり。
「……実行したの?」
「ぶっ――!」
次の瞬間、ティアナちゃんは盛大に咳き込んだ。
あ、やっぱり。
「お嬢様、汚いです」
呆れた声とともに、アリスがすっと前に出て、何事もなかったようにハンカチを差し出す。
「……あ、ありがとう」
赤くなりながら受け取るその様子が、もう答えみたいなものだった。
「そ、それは……ひみつで……」
視線が泳ぎ、耳まで真っ赤。
「ふふ、そっか〜」
私は肩をすくめて笑う。
「でも、よかった。ちゃんと仲直りできて」
その言葉に、ティアナちゃんは少しだけ表情を緩め、小さく、でも確かに頷いた。
……うん。
これはもう、大丈夫そうね。
「それにしても……いつも完成度が高いよね。ルイが作るものって」
鏡越しにそう言われ、私は小さく笑った。
「ありがとう。でも、それはティアナちゃんが――私を見つけてくれたおかげ」
言葉にすると、胸の奥がじんわり温かくなる。
ほんとうに、頭が上がらない。
彼女が進むと決めた道を、私も迷わず進む。
それくらいの覚悟を、あの人は知らないうちにくれた。
……そして。
ふと意識が遠のく。
私は、ティアナちゃんとの出会いを思い出していた。