獣人学校の月の姫
第1章 海空の想い
私の夢は今は亡き母と同じ夢
〝自分を愛してくれる素敵な人と結婚すること〟
母はそれを達成して、その証拠に私をこの世に誕生させた
でも、その証拠は母と父を切り裂くものだった
母を溺愛していた父。
母が亡くなったのは私のせいだ。
母はもともと身体が弱かった。そんな中、私を産んだから
きっと、身体が耐えきれなかったんだと思う。
父は母が死んだことにひどく悲しんだ。
母を殺して生まれてきてしまった私。恨まれて当然だと思っていた。
でも、父は私を愛してくれた。
母を溺愛していた父はきっと、心のどこかで私を愛することに抵抗があっただろう。
それなのに毎年、父は母の命日でもある私の誕生日に
「ママの分もパパが祝ってあげるからね。」
そう言って祝ってくれた。
私は父に感謝してもしきれないだろう。
こんな私でも愛して、やりたいことをやらせてくれてこれ以上の幸せはないと感じるほどの幸せをくれた。
「海空、パパは海空の晴れ姿を見るため頑張るから、海空はパパみたいな素敵な人を見つけるんだぞ!」
そう言って笑う父。
ここまで生きて来れたのは父のおかげだ。
父に恩返しがしたい。
この世は獣人がほぼ全てを支配している。
だから、いい人間は全て獣人の方へと行ってしまう。
素敵な人を人間の私が見つけるには、頭のいい学校に入学し、よりいい人間が集まるところへ行くこと。
まだ幼い私にはそれぐらいしか思いつかなかった。
きっともっといい道があったのに。
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