忘れないまま恋をした
14
それから数年

夜。

食器を片付けて、キッチンの明かりだけがついている。

テレビは消えていた。

直哉がソファに座って、ぼんやりスマホを見ている。

「なあ」

その声で、柚は振り向いた。

「ん?」

直哉は少しだけ考える顔をしてから言う。

「俺らさ」

テーブルの上のマグカップを指で回しながら、

「出会って何年?」

柚は少し笑う。

「……10年?」

直哉は首を振る。

「11年」

「そんなだっけ」

「そんな」

少し笑う。

でも、次の言葉が続かなかった。
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