忘れないまま恋をした
中庭で泣いていた。

直哉が立っていた。

「…誰かのこと、まだ好きなんだろ」

心臓が止まりそうになる。

どうして、と思った。

何も言っていないのに。

何も話していないのに。

逃げたかった。

でも、足が動かなかった。

私は何も答えない。

答えられない。

その沈黙が、すべてを物語っていた。
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