妊娠しましたが相手に婚約者がいました。今更私が本命? ご冗談を。
ただ、彼が私に本気ではなかっただけのこと。サラとルイを父親のいない子にしないでくれたのは清一郎さんのおかげだ。

「アルゴンキンに行くか?」

気まずそうな私を気遣うような言葉を掛けてくれる彼。彼はいつも私に意地悪な事を言っているが、そういうコミュニケーションの取り方をしているだけで優しい人だ。

「良いですね! 行きたいです」

アルゴンキンとはトロント郊外の紅葉の名所だ。彼はサラが遠出をしたがっているから、要望を叶えようとしてくれるのだろう。
彼の事をヤクザだと突っぱねた私は本当に分かっていない。ヤクザの子だから暴力的なんて固定観念だと、私自身が一番身を持って知っていたはずだ。

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