妊娠しましたが相手に婚約者がいました。今更私が本命? ご冗談を。
私の反応にライ君がニコッと笑った。彼は誰にでも分け隔てなく優しい。私は大好きな人の生活を覗き見れるようでドキドキした。

ライ君に案内されたのは高級タワーマンションの三十九階の角部屋だった。
外階段のアパートに住んでいる苦学生のイメージを彼に持っていたから意外だ。

「どうぞ入って」
彼の甘い声で促され、ノコノコと部屋に足を踏み入れてしまった。
段差のない広い玄関に少し戸惑う。ライ君の靴しか置いていないが、一人暮らしの学生の家のイメージとはかけ離れたお店のようなシュークローゼットが併設された玄関だ。
靴で汚れる場所なのに、玄関の床も美しく輝く大理石でできている。
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