妊娠しましたが相手に婚約者がいました。今更私が本命? ご冗談を。
東京タワーは赤い派手な光を放っているのに、寂しそうに見えるのが不思議だ。きっと、東京スカイツリーが現れたせいだろう。

「素敵な部屋だね。ライ君って実はお坊ちゃま?」
「まさか! このマンションは俺の母が父親から手切れ金代わりに貰った部屋。真夏ちゃんこそお見合いするなんて今時珍しい。実はお嬢様?」
私は彼の質問に首をもげそうなくらい振った。

「違うよ。普通の家の子だよ?」
彼に離れて欲しくなくて嘘をついた私の声は驚く程震えていた。
私は自分が「普通の家」の子ではないと自覚していた。

私は「お嬢」だが、「お嬢様」ではないので、半分は本当のことを言っている。
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