妊娠しましたが相手に婚約者がいました。今更私が本命? ご冗談を。
私は精一杯の嘘を吐く。この子たちのことを守れるのは私だけだ。ライ君はこの子たちを望んでいない。

私が差し出した紙袋を間口さんが首を傾げながら受け取る。

「ライさんのお母様の服を借りてました。それから、この鍵も彼にお返しください」
「畏まりました。では、本日は葉山からわざわざお越し頂きありがとうございます」

私は最後に自分の目に焼き付けるようにライ君と佐々木雫を見た。二人とも笑いながら楽しそうにお喋りしている。もう、ライ君は私のことなんかとっくに忘れているのだろう。

ホテルを出たところで、黒塗りの車と見覚えのある顔を見つける。

「園崎、何か用?」
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