空を知らない君に贈る唄
別れの季節
「……すっ……げぇ、な……」
陽⽃がようやく、肺の奥から絞り出すようにして、掠れた声を
落とした。
それは感嘆というより、呆然とした独り⾔に近かった。
その声に、澄華はゆっくりと隣を⾒て、ほんの少しだけ⼝元を緩めた。
「……うん」
短く、けれど確かに頷く。
その横顔を⾒た瞬間、陽⽃ははっと息を呑んだ。
澄華の頬に、光を受けてきらりと光るものがあったからだ。
「ちょっ……え、えぇ!? なんで泣いてんだよ……!?」
声が裏返り、陽⽃は完全に慌てた様⼦で澄華の正⾯に回り込む。
どうしていいか分からず、けれど放っておけず、気づけば指先が
動いていた。
親指で、そっと。
触れるか触れないかの距離で、澄華の頬を伝った涙を拭う。
――あたたかい。
⾃分の指先に残ったその感触に、陽⽃は⼀瞬、⾔葉を失った。
涙を拭われた澄華は、きょとんと⽬を瞬かせてから、少し困ったように
笑った。