私が好きになった彼には好きな人がいた。

好きと伝えたい、だけど…

 放課後、私は補習で学校に残っていた。最近、テストであまり点数が取れない...。陸斗君が気になりすぎて...。そんなのただの言い訳だ。
 補習をしていた下の教室から、荷物を取りに教室に戻ると教室には誰もいなかった。
 オレンジ色の夕陽が差し込む教室の中で私は一人ポツンと立っていた。
 一旦教室を出て、隣やその隣の教室を見ても、誰もいなかった。
 自分の教室に戻り、陸斗君の席の前に立った。
「好きです!付き合って下さいー」
 私は大声叫んだ。
 本当はこんな想いを伝えたい。でも伝えられないのが事実だ。
 はぁ、とため息を吐きながら、自分の席に座った。帰りたいのになぜか教室にいたいという不思議な思いが胸に残っていた。数時間前には陸斗君がここにいたからかな。
 ガラガラ、と音がして先生が入ってきた。
「おぉ、星野。まだ残ってたのか?早く帰れよ。」
 じゃあ、と言って先生は隣の教室へ行った。
 驚いた...、さすがにさっきのは聞かれてないよね。うんうん、そう信じよう。
 もし聞かれていたらどうしよう、という不安と恥ずかしさで私は逃げるように教室を出た。

 帰り道、駅までゆっくりと歩いていると、麟夏からLINEが来た。
(麟夏:美月ー大事件!大事件!)
 びっくり、と書かれたスタンプと一緒に文章が送られた。
 多分、蒼真君とのことで進展があったんだろう。
(美月:どうしたん?)
(麟夏:今日、蒼真君と話せた!!体育の合間にたまたま話したんだけどさ、内容が激アツでさ!)
 予想通り蒼真君とのこと。
(美月:うんうん。教えて教えて!)
(麟夏:実は、好きな人聞かれたの。これ脈アリだよね?)
(美月:何それ!絶対脈アリじゃん!羨ましい〜)
 私は全く進展がないというのに、辛い…。
(麟夏:そういう美月はどうなの?)
(美月:全然だよ〜。ちょっと聞いてほしいことがあるんだけどさ。)
 さっき、陸斗君の机の前で叫んだ後に、先生が来たことを報告した。
(麟夏:何それ、めっちゃ面白いじゃん。そんなことするなら、早く告んなよ!美月は可愛いだから自信持つべきだよ。)
(美月:そんな勇気ないよー。)
 麟夏はいつも可愛いって言ってくれるけど、顔にそんな自信はないし、告白しても振られそうな気がする。
(麟夏:じゃあまず明日話すことから始めな!私応援してるからさ。)
(美月:そうだよね。まずそっからだよね。)
(麟夏:うん!じゃあ頑張って!)
 はーい、というスタンプを押してLINEが終わった。
 明日陸斗君に話しかけてみよう、私はそう決心した。
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