ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~

3.わたしの守護宝石

 わたしはもう、状況を整理するのに精いっぱいだった。
 テルが「ダイアモンド」と名乗ったと思ったら、
 何もないところから知らない男の子が急にあらわれるなんて。
 男の子の年は、わたしと同じくらい。
 真っ白い軍服みたいなものを着ている。

「ちっ。
オマエは……、忌々(いまいま)しい水晶か」
「その通り。
おれは、美月の守護宝石、『イリス』。
オマエの天敵さ」

 白銀の髪の少年は、ダイアモンドに向かってにっと不敵に笑ってみせた。
 白いまつ毛に彩られた瞳は、不思議な虹色をしている。
 おそろしいくらいに整った顔立ちは、一度見たら絶対に忘れないだろう。
 そう、忘れないはず。

 とくん、とくんと胸が高鳴っていく。
 じわりとしたうれしさと、切なさ、
 懐かしさが入り混じった、不思議な感覚。
 わたしは……、この人を、知っている? 

「美月、手首は大丈夫か?」
「あ、う、うん。
それは、大丈夫なんだけど……。
あの、わたしたち、どこかで会ったことある?」

 うわ、疑問がそのまま口から勝手に。
 こんな時に、何言ってるの、わたし。
 少年はちょっと驚いたような顔をしたあと、すぐに声を上げて笑った。
 あ、笑うとイメージががらっとかわる。
 なんか……、カワイイ。

「まあ、今年の春から毎日会ってるな。
言っただろ? 
『美月の守護宝石』で、名は『イリス』って」

 パチン、とサマになるウインクをされ、ふたたび胸がどきんとはねた。
 うるさいくらいの心臓のどきどきを感じながら、考える。
 わたしの守護宝石で、名前が「イリス」? それって……。

「……ちょっと失礼!」
「へ?」

 少年……、イリスは、ひょいっとわたしを抱きかかえて、
 ステージからとび降りる。 

 ドカカカッ! バキッ!

 わたしたちがいたところに、
 イスやテーブルがものすごいスピードでつっこんできて、鈍い音を立てた。

魅入られし霊の手(ポルター・ガイスト)!」

 ダイアモンドが叫ぶと、キレイに設置されていたテーブルとイスがふわりと宙に浮く。
 それらは再び、わたしとイリスのもとにとんできた!
 おそろしくて、思わずイリスの首に手を回してしがみつく。

「しっかりつかまってろよ、美月!」

 わたしを抱く手にぎゅっと力を入れて、
 イリスはひょいひょいととんでくるものをよけていった。

「ち、ステージからだいぶ遠ざかっちまったな。美月、立てるか?」
「う、うん」
 
 そっと地面におろされる。
 わたしたちは、いつの間にか大ホールの後ろに追いつめられていた。
 ふわふわ浮かぶテーブルが三つ、わたしたちめがけて一気に落ちてくる!
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