世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
「申し訳ありません。ですが、この街を歩くならこの靴が一番ふさわしいのかと……」

 こんなにもヒールが石畳を歩くのに不向きだとは知らなかった。

 知識としてしか存在しなかった外国の姿は、想像以上に私に優しくないようだ。

 もっとも私がヒールを選んだのはおしゃれのためだけではない。

 母はいつも、どんな瞬間だろうと気を抜かずに九条家の人間としてふさわしい立ち居振る舞いを心掛けろと言っていた。その中にはファッションも含まれている。

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