世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 その文句が、彼を紹介した形になる私の両親へ向かったと考えるのはごく自然だ。

「迷惑をおかけしてすみません」

「謝るな。君になにかされた覚えはない」

 厳しく冷たい言い方に聞こえるけれど、突き放すようなものではなかった。

 両親と私は別だ、と考えてくれているのがわかる。

 ……もし彼がそうした口調を改めれば、世間で流れている噂の半分が好意的なものに変わるんじゃないだろうか。

「ここで頭を悩ませていても仕方がないだろう。次の休みに行く、でいいか?」

「はい」

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