世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 もうこの人の腕の中にさえいれば大丈夫なのだと、本能が言っている。

「いてて……。人を殴るなんて、やっぱりあんたは最低な人間だな」

 地面に転がっていたのか、起き上がった朝倉さんが蓮司さんを睨みつけて言った。

「そんな奴に紗代さんは渡さない! 紗代さんは僕のものだ!」

「……くだらない」

 私の手首に巻かれたテープを丁寧に剥がしながら、蓮司さんが押し殺した声でつぶやく。

「紗代にこんな顔をさせておいて、よく自分の話ができるな」

 長い指が私の目尻を伝って、涙を拭ってくれた。

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