明坂高校生徒会はこんなもんやで!

第31話 知らん間に......

 とりあえず、2年3組行こ。
体育祭の次の日、皆疲れからなのか、早くから来ている人はほとんど居なかった。

(颯真なら来てるっしょ)
(……他に誰も居ませんように)

真辺は、荷物を自分の教室に置き、そのまま2年3組に向かった。

(宮浦)「――まだまだ暑いな」

(うん……?誰かと話してる?)

2年3組の教室前に着いた真辺は、微かに教室から聞こえてくる声に耳を傾けた。

(宮浦)「……にしても、選挙やら修学旅行やら行事まだまだあるから、油断出来んよな」
(松原)「……そうだね」

(この声はつむぎちゃん?)
(でも、口調が違うような……)

(宮浦)「……そういえば、立候補するって言ってたけど、何で出るん?」
(松原)「うーん……今回も副会長で出ようかなって思ってる」
(宮浦)「そうなんや」
(松原)「そういう、颯真くんは?」

(え……?つむぎちゃんって颯真呼びやったっけ?)

(宮浦)「俺も会長で出ようかなって思ってる」
(松原)「そうなんだね。きっと当選すると思う」

(やっぱり、馴れ馴れしいよな?)

(宮浦)「……というか、いつも来てるメンバーが居らんってことは、休む人多そうやね」
(松原)「いつもより遅いだけかもよ?」

(え……?やっぱり、聞き間違えな訳ないよね……)
あのつむぎちゃんがタメ口で話してる……
田辺にすらしてないのに……
てことは、颯真にだけタメ口?
え、だったらなんで?
京都に買い出し行ったときもそうやったけど、
お嬢様って感じの家庭環境ではなさそうやし、仮にそうやったとしても、全員に等しく敬語で話すはずやろ?

(宮浦)「ちょっと職員室行ってくるわ」

(やばい……)

(宮浦)「あっ、真辺先輩おはようございます」
(真辺)「あっ……おはよう」
(宮浦)「眠たいっすね」
(真辺)「そ……そうだね」
(宮浦)「先輩のクラスもまだ、誰も来てませんでした?」
(真辺)「……うん、私が最初やったよ」
(宮浦)「やっぱり、いつもより遅い人がいるのは全クラス共通なんっすね」
(真辺)「……そうっぽいね(笑)」
(宮浦)「じゃあ職員室にいくのでまた」
(真辺)「う……うん」

(あっぶな……どうにか誤魔化せた……)
(とりあえず、教室に戻ろ)

宮浦に怪しまれないよう、真辺は別ルートで自分の教室に戻った。

(もしかして文化祭の時のやつも、本当にタメ口やった?)
よく覚えてないからあれやけど……
でも、さっきのは確実にタメ口やったよな……
なんでや?本当に分からん……
颯真は颯真で、何にも思ってなさそうやったし……
あの颯真が何にも思ってなさそうってことは、前からそんなんやったんか?
颯真に探り入れてみよかな……そんなことしたくないけど……

そのまま1限、2限と時間がどんどん過ぎていき、昼休みになった。
真辺は朝と同じように、2年3組の教室に向かっていた。

(生徒会の先輩後輩だから怪しまれないはず……)
(……気のせい、だよね?)

(宮浦)「あっ、真辺先輩も購買っすか?」
(真辺)「えっ、あ……うん、そう」
(宮浦)「完全に弁当忘れてたんで(笑)」
(真辺)「そ……そうなんやね(笑)」

(宮浦)「ありがとうございます」
(販売員)「いつもありがとね」
(宮浦)「いえいえ、こちらこそありがとうございますぅぅ……あれ?真辺先輩何も買わないんですか?」
(真辺)「えっ、あ……うん、今お腹膨れてきたから良いかなって」
(宮浦)「……?朝もそうでしたけど、大丈夫ですか?」
(真辺)「え……、何が?」
(宮浦)「いや、なんというか……」
(真辺)「あっ、そうそう颯真ってさ、つむぎちゃんと仲良いよね」
(宮浦)「……えっ、まぁ普通に同じクラスなんで」
(真辺)「……やっぱり、そうだよね。変なこと聞いてごめん」
(宮浦)「いや……別に変なことでは無いですけど……」

真辺は、その場から足早に自分の教室に戻っていた。

(うまく聞けなかった……)

その後も昼休み、5限、6限と時間が過ぎ去り、放課後になっていた。

(はぁ……結局授業にも考察にも集中出来んかった……)

(宮浦)「すみませーん。真辺先輩は居ますか?」
(真辺)「え?颯真?」
(宮浦)「すみません、真辺先輩。ちょっと良いですか?」
(真辺)「……うん、良いよ」
(宮浦)「聞こうか迷ってたんですけど、本当に大丈夫ですか?」
(真辺)「……え?何が?」
(宮浦)「うまく言語化出来ないんですけど、いつもと違うような感じがして……」
(真辺)「……そうかな?気遣ってくれてありがとうね」
(宮浦)「いえ、大丈夫なら良かったんですけど……自分がモヤモヤしてたんで……」

(ああ、やっぱり優しいなぁ……颯真は)

(宮浦)「用事があるので、これで」
(真辺)「あっ……うん。ありがとうね」

(……私、何を気にしてるんだろ)


 (やっぱり、あの2人って……)

次の日、真辺はまたもや朝早くから来ていた。

(間違いなく、颯真とつむぎちゃんの距離が違う)
(前通るだけ通ってみようかな……)

真辺は2年3組の教室へと向かった。

(やっぱり、2人ともいる……)

(宮浦)「おはよー」
(松原)「おはよう、颯真くん。……これ美味しいよ」
(宮浦)「……昨日言ってたやつ?」

(えっ、昨日ってなに……)
なんだか颯真も、普通に話してる……
……私と話す時と、違う
……いや、違うよね
別に、そんなの普通のことだし……

(松原)「……はい」
(宮浦)「……ありがとう」

(……なんか、やだ)
(なんで……なんで、こんな気持ちになるの)

(藤島)「あっ、かなっちじゃん」
(真辺)「……あっ、ふじっち」
(藤島)「どうしたん?泣きそうな顔して」
(真辺)「え?……泣きそうな顔になってる?」
(藤島)「なってんで。大丈夫?」
(真辺)「……あれかな、さっきあくびしたから、それやと思う」
(藤島)「なら良かった」

(……気のせいだよね)
……そうじゃないと、困る
……私がおかしいのかな
……また笑ってる。
2人の小さな笑い声が、耳に残る……
……いやいや普通なことでしょ、自分。

(宮浦)「あっ、これあげる」
(松原)「ありがとう……」

(ああ…………そっか……)
私の独りよがりだったんだ……
見たくなかった……
また、笑ってる
なんで……なんで、そんな顔になれるの……

(田中先生)「――おーい、真辺?大丈夫か?」
(真辺)「あっ……、田中先生」
(田中先生)「大丈夫?担任の先生呼んだったで」
(真辺)「あっ……、ありがとうございます」
(田中先生)「具合悪かったら保健室行きや」
(真辺)「はい……ありがとうございます」
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