明坂高校生徒会はこんなもんやで!

第39話 それが唯一の方法

 誰にも……
私は自分を隠してきた。
それが唯一の方法だったから。

私は、おてんば娘だった。
今思えば、悶えたくなるほど恥ずかしいくらいに。
ただ、それを許してくれたのは身内だけだった。
とある日に親戚に会ったとき、
私は自分を隠そうと幼きながら思った。
いや、本能だったのかもしれない。

――十一年前

(松原)「こんにちは!!おばあちゃん!!」
(松原祖母)「あらあら、つむぎちゃんいらっしゃい」
(松原)「きょうねきょうね、1人できたの!!」
(松原祖母)「あらまぁ、1人で来たの。偉いねぇ」
(松原)「そうでしょ!!」

この時はまだ良かった。

(松原)「……このおじさんだぁれ?」
(松原祖母)「この人はおばあちゃんの、お兄ちゃんなんだよ」
(松原)「へー、こんにちは!!」
(大伯父)「…………」

視線すら向けてくれなかった。

(松原祖母)「ちょっと、返事くらいしてやりなさいよ」
(大伯父)「…………」
(松原祖母)「ごめんねぇ、お庭で遊んでおいで。おばあちゃん、ご飯作るから」
(松原)「はーい!!」

 この時の私は、まさかこんなことになるとは思ってもいなかった。

(松原祖母)「ご飯できたよ」
(松原)「はーい!!」
(大伯父)「うるさい(怒)ちょっとは静かに出来んのか(怒)」
(松原)「え……」
(松原祖母)「……ごめんねぇ。おばあちゃんたち、ちょっとだけお話してくるから、先に食べておいて」
(松原)「…………」

おばあちゃんは、私を庇ってくれた。
だけど、私は心の底から傷ついた。
お母さんやお父さん、おばあちゃんには良くても、他の人はこの私を嫌うんだ。
幼きながら、そう感じた。

……だったら隠せばいい。

それからというもの、小学校・中学校に入学しても、私は自分自身を隠し続けた。
小学校のうちは、たまに出てしまうこともあったけど、高学年になる頃には完璧に隠せるようになった。

――土曜日

選挙ではそれが通用しないかも……
前期で副会長に受かったのも、運だった。
副会長候補は私しか居なくて、信任投票だった。
信任投票は余程のことが無い限り、落ちないことは分かってから、落ち着いて演説が出来た。
……でも、今回は違う。
他にも候補が居た。
手続きをしに行ったとき、同学年の副会長候補の名前が書いてあった。
しかも、同学年ではそこそこに人気があるタイプの人。
私は勝てるの?自分を今まで隠してきて……
人との関わりもその人には勝てる訳がない……
……だったら、今回は選挙に全力を尽くす!!
颯真くんと、もう一回生徒会をするために!!
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