甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜
再会
退院後はしばらく実家で過ごしたら?という紅葉の誘いを、「左京さんとの時間を大切にしたいから」と断り、桜子は自宅マンションに悠真と共に戻った。

「桜子、俺はしばらくテレワークにしてもらったから。1か月は二人のそばにいる」
「そんなに長くて大丈夫なんですか?」
「ああ。こう見えて俺、一応役員なんだ」
「ふふっ、存じてますよ。でも戸部さんが寂しがりそう」

すると左京は、顔をしかめる。

「そうなんだよ。あいつ、食材を買って毎日ここに顔を出すとか言ってた」
「えっ、それは助かります」
「目的は別にあるに決まってる。置き配にしろって言おうかな」
「もう。だめですよ、左京さん」

そうして毎日やって来る戸部は「悠真くーん」と抱っこし、桜子の手料理を食べてから帰っていく。

「お前、暇なのか?」
「はい、暇です。だって常務が出勤されないから」
「他の仕事しろ!」

賑やかないつものやり取りを、桜子は悠真を抱きながら笑って見守った。
< 100 / 108 >

この作品をシェア

pagetop