前世の婚約者は王太子殿下でした
「そっか。レーナのおかげでお皿が割れずに済んだのね」
「ジェシカが怪我をしなくてよかった」
「でも、私がぶつかるって、どうしてわかったの?」

 ジェシカが皿を安全な場所へ移動させつつ率直に問いかけると、レーナはどうしようかと少しためらったあと、口を開いた。

「今朝の夢。今と同じ状況で、何枚もお皿が割れてジェシカが顔を真っ青にしてたから」

 気味が悪いと言われるかもしれない。そう懸念したレーナだったが、ジェシカはただ驚いたり感心したりするだけだった。

「正夢ってやつ?」
「そうなのかな」
「とにかく助けてくれてありがと」

 もっと事前に明確な情報が得られればいいのだけれど、夢はいつも継ぎはぎ。
 そのため、直面する寸前にならないとわからない。それがレーナにはもどかしかったが、当たることが多くてとまどってもいた。

「手を止めてたらオディル様に叱られるわよ?」

 そばを通りかかったマリーザが、ヒソヒソ声で私たちに忠告をした。
 彼女の言うとおりだ。ピークは過ぎたとはいえ、片づけや掃除はまだ終わっていない。
 レーナとジェシカは微笑み合い、すぐさま仕事に戻った。
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