アラフォーバツイチ、花ざかり。
 以前真琴が『あなたといると自分がすごく劣ってるように感じるもの。他に癒しを求めてもしょうがないわ』と言ったが、このことを思い出して暗鬱な気分になってしまった。そんな俺の些細な異変に、あの時真琴は気づいていたらしい。

 俺が悪かったのだろうか。心から愛していたのに。他の男に心も身体も許すほど、藍奈を追い詰めていたのか……。

 そう自分を責めたりもしたが、ほどなくして藍奈の発言は嘘ばかりだったことがわかった。両親についてだけでなく、俺たちが親しくなったきっかけのストーカー疑惑も、彼女のでっち上げだったのである。

 以前から俺を知っていて建築士という仕事にも魅力を感じ、飲み会で話が合ったので付き合いたいと思ったのだという。

 なぜ三年もの間気づかなかったのか。俺が盲目になっていたせいなのかもしれないが、思い返してみても藍奈の嘘は自然すぎて見抜けなかった。

 息をするように嘘をついていたので、おそらく彼女自身も自覚がなかったのではないだろうか。男関連の時だけだったが、もはや病的だとすら思った。

 藍奈がそうなってしまったのは、幼い頃の家庭環境のせいだと考えている。

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