アラフォーバツイチ、花ざかり。
 さちいろハウスの皆の好奇心に負けて買ったピザを思い返し、彼に笑みを向ける。

「ピザ、美味しかった。ここまで軌道に乗せて、本当にすごいよ。見直した」

 私がそんなふうに言うとは思わなかったのか、樹は一瞬目を丸くした後、あからさまに嬉しそうに表情をほころばせた。こういう単純明快なところも変わっていないな。

 彼はコーヒーをひと口飲み、神妙な面持ちになって問いかけてくる。

「マコはどうしてた?」
「私はなにも変わってないよ。仕事も生活も」
「……じゃあ、今もひとり?」
「あいにくね。目ぼしい人もいないし、この先もひとりだよ、たぶん」

 自嘲気味に口の端を上げて答え、カップを持ち上げる。

 対する樹は、私生活の面倒を見てくれるいい女性をとっくに見つけていそうだな。なんて思いながらラテに口をつけた時、どことなく真剣さを帯びた瞳がこちらを見つめていることに気づく。

「マコ……もう一度やり直せないかな、俺たち」
「へ?」

 ありえない言葉が聞こえてきた気がして、まぬけな声が漏れた。

 カップを持ったまま固まる私を、樹は情熱的な瞳で見つめ続ける。

「俺は今も、マコのことを愛してる」

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