One year left -家族ごっこ-
喉の粘膜を容赦なく灼(や)き尽くすような、濃厚で圧倒的な命の質量。


私は溢れるそれを一滴も逃さぬよう、ただ一心に、喉を鳴らして深く深く飲み込んでいった。


からっぽに凍りついていた私の身体の隅々にまで、彼の狂おしいほどの熱が、生々しい血の巡りとなって満ちわたっていく。


彼の熱い液が喉を通り抜けるたびに、死んでいた私の細胞が一つずつ、手荒に、けれど確かに叩き起こされていくような錯覚を覚えた。


私は彼の最も深い温度を内側に宿したまま、ゆっくりと顔を上げる。


そこには、すべてを私に奪い尽くされ、荒い呼吸のなかでただ私だけを視線で繋ぎ止めようとする、愛おしい碧くんの姿があった。


「……気持ちよかった?」


私は口元をそっと拭い、彼を救うように、あるいは彼に救われたことを確信するよう、本当の生を実感しながら、小さく微笑む。




さようなら、お母さん。
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