クールな年下男子と、甘い恋を。
 外の暑さを忘れるほど涼しい成瀬家の居間で、私は成瀬兄弟と一緒に座卓を囲んでいた。
 座卓の上には三つのアイスが置かれている。
 私と成瀬くんはバニラ、葵先輩はチョコ味だ。

「深森さんのお家は食堂をやってるんだ。なんていうお店?」
 私の向かい、右斜め前に座っている葵先輩が質問してきた。

 中性的な顔立ちに、落ち着いた茶色のフレームの眼鏡。

 抜群に美しい彼は、急にお邪魔した私を嫌な顔一つせず招き入れてくれた。
 私を心配して冷たいお水を出し、楽しい会話で和ませてくれた。

 葵先輩は本当に素晴らしい人だ。
 他校にまでファンがいるというのも納得だった。

「そのまま深森食堂です。おじいちゃんがやっていたのをお父さんが脱サラして引き継いだんです。それなりに繁盛してるんですけど、できる限り人件費を抑えて安くしたいからって、ピーク時以外はほとんど両親が二人でお店を回してて。私は小学生の時から手伝ってました。大抵の作業ならできますよ」
「深森さんは偉いねえ」
 感心したように葵先輩は言った。

「良かったら是非来てください。助けていただいたお礼に、ごちそうします」
「だって、漣里。お言葉に甘えて行ってみたら?」
「気が向いたら」
 成瀬くんは葵先輩の隣でアイスを口に運びながら、淡々と言った。
< 5 / 243 >

この作品をシェア

pagetop