クールな年下男子と、甘い恋を。
「え、え、えと、あの……」
 王子様の相手役はお姫様じゃなくちゃいけない。
 こんな展開が許されるのはシンデレラだけだ。
 物語の世界だけでしょう!?

 私じゃダメだ。
 私なんかじゃもったいない。

 それに――それに、何より――

 ふっとよぎったのは、私の手を握った漣里くんの手の感触。

 あの手と、この手の温もりは、違うんだ。

 そう思った瞬間、私は葵先輩の手から抜き取るように自分の手を引っ込めていた。

「……すみません。お気持ちは嬉しいんですが、無理です。先輩の彼女にはなれません」
 だって、気づいた。
 たったいま、気づいてしまった。

 この手じゃないって。
『違う』って、心が強く訴えた。

 皆から王子様と讃えられている人でも、違うんだ。
 私の心にいるのは、この人じゃない。
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