泥棒との遭遇
部屋の中がグチャグチャになっていて、タンスや机の引き出しのほとんどが空けられ、しまってあった高価なものが全て無くなっている。
そんな状態が、リビングから奥の部屋まで、ずっと続いていた。
誰が見ても、泥棒が入ったのだとひと目でわかるだろう。

奥の部屋からリビングに戻った俺は、そこで見た。
リビングにある大きなガラス窓の向こうに、怪しげな男が立っているのを。
しかも、手にはバールのようなものを持っていて、ガラスを割ろうとしていた。

泥棒だ!
とっさにそう思ったけど、驚いてすぐには動けない。
驚いたのはその男も同じようだったけど、そいつは俺と違ってすぐに動いた。あっという間に、その場から逃げ出したんだ。
俺が窓に駆け寄り鍵を開けた頃には、影も形ももなくなっていた。

まさかこんな事態になるなんて思ってもみなくて、それからしばらくの間、心臓が嫌な音を立てていた。

ただひとつ幸いだったのが、そいつがすぐに捕まったこと。
怪しい男が逃げて行ったのを見たと近所の人が通報して、服装から誰だか特定されたらしい。

本人は犯行を否定しているけど、他にも似たような事件をいくつも起こしていて、警察は全く信じてないようだ。

よかった。






【解説】

語り部が目撃した男は、これから窓を壊そうとしていたし、その窓には鍵がかかっていた。
つまりこの男、まだ家の中には入っていない。

実は語り部は、先にこの家に入った泥棒で、部屋を荒らし物を盗んだのは、全て語り部の仕業だった。

最後の『よかった』は、自分でない別の者が逮捕されたことによる安堵の言葉だった。
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