クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした

昼休みの職員室。

私と翼くんは、高田先生のところへ向かった。

高田先生は、私たちを見て目を丸くした。

「七瀬さんと……日向くん? 何の用ですか」

「木村さくらさんのことで、お話があります」

私はレシートの写真と、のぞみちゃんの証言内容をまとめたメモを先生に渡した。先生は、黙ってそれを読んだ。

読み終えて顔を上げたとき、先生の表情が変わっていた。

「……確認させてください」

先生は立ち上がった。

「修理店には、今日中に私から連絡します。のぞみさんにも、直接話を聞きます」

「のぞみちゃんは、すでに話す準備ができています」

先生は、私と翼くんを交互に見た。

「……ありがとう、七瀬さん、日向くん。あなたたちが来てくれなかったら、私はずっと間違えたままだったわ」

先生の声が、低くなった。

「それから……松田くんにも、話を聞かないと。本当のことを話してくれれば、怒鳴ったりしない。それだけは約束するから」

先生の目が、かすかに潤んでいた。

私と翼くんは、何も言わなかった。



さくらちゃんの件が解決した翌日から、学校は文化祭ムードが最高潮になった。廊下を歩くたびに、準備の声があちこちから飛んでくる。

その日の放課後、廊下を歩いていると、見覚えのない一年生の女の子とすれ違った。

小柄で少し目が赤いけど、顔を上げて歩いていた。

あの子が、木村さくらちゃんだ。

さくらちゃんは私の顔を見て、何も知らないはずなのに、ぺこりと頭を下げた。

「……お疲れさまです」

「うん、お疲れさま」

さくらちゃんは音楽室のほうへ歩いていった。遠ざかる背中を見ながら、翼くんが隣に並んだ。
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