クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
昼休みの職員室。
私と翼くんは、高田先生のところへ向かった。
高田先生は、私たちを見て目を丸くした。
「七瀬さんと……日向くん? 何の用ですか」
「木村さくらさんのことで、お話があります」
私はレシートの写真と、のぞみちゃんの証言内容をまとめたメモを先生に渡した。先生は、黙ってそれを読んだ。
読み終えて顔を上げたとき、先生の表情が変わっていた。
「……確認させてください」
先生は立ち上がった。
「修理店には、今日中に私から連絡します。のぞみさんにも、直接話を聞きます」
「のぞみちゃんは、すでに話す準備ができています」
先生は、私と翼くんを交互に見た。
「……ありがとう、七瀬さん、日向くん。あなたたちが来てくれなかったら、私はずっと間違えたままだったわ」
先生の声が、低くなった。
「それから……松田くんにも、話を聞かないと。本当のことを話してくれれば、怒鳴ったりしない。それだけは約束するから」
先生の目が、かすかに潤んでいた。
私と翼くんは、何も言わなかった。
*
さくらちゃんの件が解決した翌日から、学校は文化祭ムードが最高潮になった。廊下を歩くたびに、準備の声があちこちから飛んでくる。
その日の放課後、廊下を歩いていると、見覚えのない一年生の女の子とすれ違った。
小柄で少し目が赤いけど、顔を上げて歩いていた。
あの子が、木村さくらちゃんだ。
さくらちゃんは私の顔を見て、何も知らないはずなのに、ぺこりと頭を下げた。
「……お疲れさまです」
「うん、お疲れさま」
さくらちゃんは音楽室のほうへ歩いていった。遠ざかる背中を見ながら、翼くんが隣に並んだ。