The One
「……もしもし」
声を出した瞬間、
自分でも分かるくらい、ボロボロだった。
『奈桜!?何があったの!?』
その声を聞いた瞬間、
完全に崩れた。
「っ……あのね……」
涙で、うまく喋れない。
それでも、
少しずつ、
全部話した。
先生のこと。
夏の補習、文化祭準備、文化祭の片付け…
一緒に屋上で花火を見て、車で送ってもらったこと。
ママにバレたこと。
学校に行けなくなったこと。
そして——
「留学、しなきゃいけないの……」
沈黙。
電話の向こうで、
カオリが息を飲むのが分かる。
『……留学!?』
「……うん」
『え、ちょっと待って、それ……』
言葉を探してるのが伝わる。
でも、
次の一言は、迷いがなかった。
『奈桜、それで終わりでいいの?』
「……え」
『そのまま何も言わないで、会わないで終わるの?』
胸が、ぎゅっと締まる。
「だって……」
『だってじゃないでしょ』
少し強い声。
でも、それが逆に救いになる。
『好きなんでしょ?』
「……好きだよ」
即答だった。
涙がまた溢れる。
『奈桜ってさ…』
一瞬、間があって——
『小幡の連絡先、知らないの?』
「……知らない」
『は!?』
一気にトーンが上がる。
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