幸運のケサランパサラン

本編

 夕暮れの帰り道、中学生の幸子はため息をついた。

 今日の幸子は学校に遅刻したり、テストで酷い点数を取ったり、体育の授業で転んで怪我をしたりと散々だった。

 自分の不運を恨んでいると、前の方からフワリフワリと何かが飛んきた。キャッチするとタンポポの綿毛が集まってできたような綺麗な毛玉だった。幸子はこれがケサランパサランだと気づいた。

 幸子はケサランパサランを見つけた人は幸運が訪れる事も知っていた。なので、上機嫌に鼻歌を歌いながらケサランパサランを優しく大事に両手で包み込んで家に帰った。

 それから幸子の生活は変わった。友達がたくさん増え 、テストの点は満点ばかり。幸子が走れば一等賞だった。幸子は好きだった男子に告白するとすぐにオーケーをもらった。幸子の人生は今までにないほど晴れやかになった。

 それから一週間後。幸子の親友がバレーボールを顔にあてて大怪我を負った。

 親友は幸子と同じチームだった。本来であれば幸子が打つはずのボールを親友が代わりに打ってくれた。

 その三日後。幸子の彼氏が車に撥ねられた。
 
 幸子とデートをしている際、暴走車が二人に襲いかかった。彼氏は幸子を庇った結果、意識不明の重体で入院した。

 幸子は気づいた。

 ケサランパサランは見つけた人に幸運をもたらしてくれるが、周りの人の運を異常なほど吸収してしまうのだ、と。

 幸子はケサランパサランを捨てようと箱を開けた。すると、真っ白だったはずの毛玉が黒く染まっていた。

 幸子は気味が悪くなって窓から投げ棄てた。が、何度捨てても同じ彼女の寝室前に戻ってきてしまった。

 幸子はもう我慢ができなくなり、自分は不幸になってもいいと願った。

 すると、黒いケセランパサランが忽然と消えた。ホッとしたのも束の間、背後から気配を感じた。

 振り返ると、そこには黒いフードを被った人物が立っていた。その背後には先も見えないほど闇が広がっていた。

 身の危険を感じた幸子は逃げ出そうとした。が、一歩も足が動かなかった。

 幸子は絶叫しながら黒いフードに闇の中へ引きずり込まれた。

 その直後、母親と彼氏の様態が信じられないほど良くなった。

 二人は奇跡が訪れたことに泣いて喜んだ。

 その一方、幸子は水死体となって川に浮かんだ状態で発見された。


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