甘すぎる溺愛は、美しい花の隣で。
「おはようございます」

その良く通る声は、もう聞き慣れた声になっていた。

「おはよう、空雅くん」

空雅くんがこの店で働き始めてから、まだ二ヶ月半ほど。

それでも、いつの間にか店に自分以外の人がいることに慣れていた。

今まで自分以外通らなかった従業員用の出入り口を使う人が、今はもう一人いる。

今はもう空雅くんがいて、この店が成り立っている。

そのことが当たり前になって来ていた。

仕事が出来る空雅くんに負けないように、自分も勉強を続けないと。

その時、私は空雅くんのある変化に気づいて、つい名前を呼んでしまう。

「空雅くん……?」

いや、変化というべきことではない。

ただ明らかに顔色が悪く、目の下にクマが出来ている。

空雅くんはそれを気づかせまいと、明るい表情で(おぎな)っているが、どう見てもいつもより疲れている。
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