妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
 私は妹に魔法で治すように頼んだけれど、妹は嫌だと言った。

 怪我を治してやったところで私に何の利益があるの。
 どう見ても礼に足るお金や上等な品物を持っているとは思えない。魔力の無駄。

 こんなのよくある話でしょう。
 見なかったことにして、放っておけばいい。

 みすぼらしい他国の貧民が死んだって私には何の関係もないわ。

 妹が冷たくそう言って立ち去ろうとしたから、私は彼女の前に跪いて懇願した。

 蝶のブローチをくれるなら治してあげてもいい。妹が言った。

 そのとき私が胸元につけていた蝶のブローチは誕生日に両親から貰った宝物だったけれど、私は了承した。

 妹は渋々ながら男の子に手をかざして治癒魔法を使った。

 妹の手から放出された淡い金色の光は男の子の身体を包み込み、怪我を治して消えた。

 それでも男の子はうずくまったまま動こうとしなかった。
 心配する私をよそに、妹は私の胸から蝶のブローチを奪い取って背中を向けた。
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