脳内猫化しているわたし、地理勉強中あなたと旅して恋に落ちた
アカギツネさんたち
ここをパラダイスにするには何が必要なのか、それを考えていきたい。

まずは食べ物と水。

食べ物は森の中のものが食べられるね。

あとは、今の寝床はかたすぎる!

う〜ん、それから…ちょっとつまらないね。漫画とか欲しいもんだね。猫も足りない!!!この度ずっと思ってきたけど、猫の要素が圧倒的に足りない!!もはや犯罪レベルだ!!!

わたしたちが持っているのは九ユーロ。つまり…1000円ちょいかな?1000円で枕買えるかな?

よし!!このお金を使ってイタリアへ枕を買いに行くぞ!

「ね、ゆうまくん!!枕買いに行こう!」

「持っているすべての金を枕に使ってどうする?」

ゆうまくんは呆れた。

「だ、だって!!ここからどう進めばいいかわからなくてふわんだ!!!」

わたしはゆうまくんに抱っこされてだんだん落ち着いてきた。

それで自然に使えるものを見つけるためにみんなと一緒に森の中を探し始めた。

「あ!!面白い葉っぱ見つけた!!」

石でこの葉っぱたちの裏面を削ると…絵が残る!!つまり、書ける!!しかも、この葉っぱの木はこの森にいっぱいある!!これじゃ、芽依ちゃんはお絵かき楽しめるね!わたしも楽しめるね!

芽依ちゃんとわたしは大喜び。さっそくその葉っぱたちを数十枚を隠れ家の洞窟まで運んできた。しかひ!テーブルがない!そして、書くための石もない!!

それでたくさんの石を集めた。大きい石や小さい石、硬い石や柔らかい石。

「ね!!ゆうまくん!!この柔らかい石をこの硬い石でおもいきっり叩いてみて!!」

ガクッ!!

こうして、石から鉛筆が数本出来上がった。

娯楽はよし!!次は枕になりそうなもの…そこでたくさんの葉っぱを木から集めてわたしの着替えへ詰め込んだ。

枕出来上がり!!!!

こうして生活はだんだん豊かになっていった。

ある日の夕暮れのことだった。

みんなと一緒に外で焚き火をして夕飯を食べていた。

フクロウの声やセミの音、生きている森の音に囲まれながらワイワイみんなと話していた。

すると、

カサカサ
 カサカサカサ

ゆうまくんはビクッとしてわたしと芽依ちゃんを後ろへと隠した。やはり、ノルウェーでのきのこ狩りであんなひどい目にあったからね、わたしもビクッとした。

カサカサカサカサ

すると、ぴょこん!草の中から一匹のアカギツネが出てきた。

「かわいい!!」

芽依ちゃんとわたしはこえを揃えてそう言った。

「あのクズリも可愛かったけど凶暴だったんだろう?」

ゆうまくんは警戒していた。

すると、あのアカギツネは少しずつこっちへと進んでいた。背を低くして、時々立ち止まりながらと。

ガサッ!!

わたしたちじゃなくて私たちのカバンを噛まられた!!!

するとアカギツネはわたしたちの大事なカバンをくわえながら一目散走り出した。

「ま、まって!!!」

アカギツネにカバン盗まれた!!

みんなで追いかける!!森の中の倒れた木や岩の上を飛びながらあのキツネを追いかけた。

キツネさんはなかなか早い。わたしはゆうまくんよりも早いし、クラスで一番足が早い子だけど、それでもそのキツネの方はずーっと早い。

「痛っ!!!」

芽依ちゃんの泣き声は森中に響き渡った。

わたしは足を止めてふりかえってみると…芽依ちゃんが大きな岩の上をジャンプしようとしたら派手に転んだ!!膝とほっぺには擦り傷ができた。

「芽依ちゃん、大丈夫?!」

それでも迷う時はない。あのカバンを失ったら食料も着替えも何もない。

ゆうまくんが芽依ちゃんをおんぶしてわたしたちはキツネさんを追いかけ続ける。

運よく、見失ったあのアカギツネはそれからしばらく直線で走っていたからまたすぐ見つけられた。

突然、そのアカギツネは足を止めて、肉球をペロペロ舐め始めた。それから、カバンといっしょに土の中に掘ってある穴へ飛び込んだ!

わたしは足を止めて、ただただそれを眺めていた。

ゆうまくんと芽依ちゃんがわたしに追いつくとわたしは見たことを説明し始めた。

「あのアカギツネはそこの穴へ飛び込んだよ。」

「あ、そこはきっとそのキツネのすみかだろうね。」

ゆうまくんは真剣な顔をした。

「俺はその中に手を突っ込んでカバンを取り返すんだ。あのキツネが大暴れするだろうから、君たちは俺の後ろにいろよ。」

ゆうまくんはそう言ってゆっくりキツネのいる穴へと近づいていた。わたしたちも、ゆうまくんの背中に隠れてそーっとキツネのすみかの中を眺めてみた。

そこには大きいアカギツネとパクパクパンを食べる5匹の小さなキツネがいた。

「か、かわいい!ね、ゆうまくん、あれはお母さんキツネだったね。」

「そうみたいだね。」

ゆうまくんもみんなも顔を緩めた。

おなかを空かせているあかちゃんたちが5匹もいたら、そりゃ食べ物を盗んだって仕方がないね。そもそも、キツネにはその食料は私たちのものだと理解できたかどうか…それもわからないね。

「どうする?」

うん…

「このままカバンはあげられない。」

やはり、そうだね。

ゆうまくんは手を穴の中に突っ込んでカバンを奪い返した。

キツネさんたちは凶暴になるところか、ただただ悲しげなうるうるしている目で私たちを見つめた。

「少しくらいなら」

ゆうまくんはそう言って、パンを3枚もカバンの中から取り出してキツネさんたちの前に置いた。

キツネさんたちは大喜びでぴょんぴょん跳ねてからパクパクと美味しそうにパンを食べはじめた。

「よかったね。これからほかの者の食べ物を盗むんじゃないぞ。」

ゆうまくんは大変かっこよかった。

それからみんなでわたしたちのすみかへと帰っていた。

夕飯の間はずっとキツネさんたちの話題だった。

「あのキツネさんたち、きっと食べ物が足りていないだろうね。」

「そうかもな…」

芽依ちゃんは目をキラキラさせた。

「キツネさんたちのために食べ物を作ろう!」

「あ!!それはいいね!!」

ゆうまくんも賛成してくれて、その夜はキツネさんたちのために色々な食べ物の入手方法を考えてきた。もちろん、キツネさんたちの食べ物のためとはいえ、わたしたちもいつかこのカバンの食料が底を尽くすからね、食べ物の入手方法がわかるといつかわたしたちのためにもきっとなる。

次の日からキツネさんにあげるための食料を作るため、釣り竿を作りはじめた。

ほ〜そい木の枝を見つけて、それはゆうまくんが硬い石をナイフ代わりにして削った。

その間わたしと芽依ちゃんはベリーを集めた。

「キツネさんたちは喜ぶかな?」

芽依ちゃんは昨日楽しみすぎてなかなか眠れなかった。やはり、かわいいキツネさんたちに心奪われたみたい。

「ええ、きっと喜んでくれるよ!」

わたしはそう言って特に大きくて甘そうなベリーを摘んだ。

「はい、これ。」

芽依ちゃんの手のひらにそれを乗せた。

パクっ!

「美味しい!!!」

「魚さんたちもそう思うと良いね。」

わたしと芽依ちゃんは笑い合いながらそうやってベリーを集めた。

ゆうまくんが釣り竿を完成させて、みんなで森の中を流れる小さな川の方へと出かけた。そこには大きな魚さんたちがいっぱいスイスイ泳いでいた。

「じゃ、行くよ!え!!」

ゆうまくんはベリーを先につけた釣り竿を勢いよく水の中へと投げ込んだ。

魚たちはまたたく間にその周りをぐるぐる泳ぎ始めた。

「くるぞくるぞ!!」

私の頭の中の尻尾をブンブン振っていた。やはり、猫として魚が大好物なんだ!

しかし…数分待っても…魚はなかなか噛みついてこない。

釣り竿の作り方が悪かったのかな?使っても…魚が全く来ない!

そう思ってしょんぼりしていたそのとき、

「きた!きた!きた!!」

ゆうまくんは叫びだして釣り竿をぐんっ!と引っ張った。

すると、大きな青魚が岸辺でピチピチと踊り始めた。

「やった!!!」

パチっ

パチっ

パチっ!!!!

みんなでハイタッチを交わした。

それからは恐ろしい速さでどんどん魚を釣れた。

最終的には合計7尾も釣ることに成功した。

「芽依ちゃんといっしょに木の枝を集めてくれない?アカギツネのすみかのまえまで持ってきてくれ。」

ゆうまくんに指示されたどおり、森の中のあっちこっちに落ちていた木の枝を集めてキツネのすみかのまえまで持ってきた。

そこでゆうまくんが魚と一緒に来て、火起こしを始めた。

カチカチカチ

焚き火だ。

それで、焚き火の近くにある大きな岩の上に魚を置いて、そこで石を使って魚をさばきはじめた。

ゆうまくんがさばきおわった魚は芽依ちゃんがわたしのところへ持ってきて、わたしはその魚を焼き魚にした。

その間、アカギツネさんたちは自分たちの穴の中からぴょっこと頭を出してこっちの様子をうかがった。

だんだん匂いに誘われてアカギツネさんがぞろぞろと穴の中からでてきて、焚き火の近くで座り込んだ。

キツネしんたちはみんなうるうるしている目で焼き魚を見つめていた。

焼き魚がすべて焼き上がったら…

「はいどうぞ!!!」

キツネさんたちの空の上へ魚を1尾ずつ投げた。

すると、キツネはそれをキャッチしぱくんぱくんとあっという間に飲み込んだ。

アカギツネさんたちに焼き魚をすべてやった。

アカギツネさんたちは大喜びであっちこっちはしゃぎまわった。それをみて、私たちはゲラゲラ笑い出した。それを聞いてキツネさんたちは鳴き声を上げ始めた!!

みんなではしゃぎながら楽しく過ごした。

次の日起きたら隠れ家の前にキツネさんと赤ちゃんたちがちょこんと座っていた。

「どうしたの?またお腹すいた?」

その日以来アカギツネさんたちを飼うことになった。アカギツネさんたちもわたしたちの隠れ家の中に住むことになり、みんなでなかよく焼き魚やパンを分け合って食べていた。

お母さんギツネにモンブランという名前をつけた。

そして、子ギツネたちに

枝丸

木苺

たんぽぽ

チビ太

枝豆

と名前をつけた。

それから、芽依ちゃんと一緒に葉っぱやそこら辺に生えている植物から猫じゃらしを作った。

「ね!ね!ゆうまくんお願い!!」

ゆうまくんがため息をついて、その猫じゃらしをフリフリしはじめた。ため息ついたけど、顔はニコニコ。

キツネたちだけじゃなくて、わたしも芽依ちゃんもゆうまくんがふるあの猫じゃらしを目がけて飛びついたり飛び跳ねたりしてなかよく遊んだ。

この楽しい生活が何日も続いた。しかし、やはり今回も楽しさがいつか終わる運命だった。

ある夜、葉っぱの枕でゆうまくんと芽依ちゃんとキツネたちと一緒にぐっすりなかよく眠っていたら外の騒音で目が覚めた。

「ゆ、ゆうまくん!起きて!」

わたしはゆうまくんを揺さぶって2人で穴のそとをそーっと覗いたら…

警察官がいっぱい!!しかもヘリコプターまで!!!

わたしとゆうまくんは顔を見合わせた。

「このままじゃ俺たちの隠れ家が見つかられるのは時間だ。」

やはりもう道草は食えない。最後のスタンプ集めなきゃ。

こうして次の日早朝フランスへ出かけることが決まった。別に作戦とかはない。しかし、何かの行動を取らなきゃ、いつになっても逃げる生活ばかりだ。いつになっても終わらないゲームだ。そんなの嫌だ。

その夜は穴を出ていく支度で忙しくて眠れなかった。

カバンの中を整理整頓したり、キツネさんたちのための食料を残したり…

芽依ちゃんとキツネさんたちの無邪気な寝顔を見たら涙がこぼれ落ちた。ずっとこのままでいてほしかった。ずっとここで平和に暮らしたかった。

しかし、そのわけにもいかない。警察官に見つかるまでに先に自分たちから出ていくしかない。
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