敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「言われなくったってできるだけのお世話はします」

「ああ、佐山が俺と一緒にいてくれたほうが警備もつくし、俺も安心だ」

「そういうことじゃなくて、お母様は私が交際相手だと思ってますよ、どうしてくれるんですか!」

「俺の足が治るまでだから、まあいいじゃないか。そういえばお前が越してきたころ、そんな噂があったな」

「ちょっと何言ってるんですか?!」

  チーフは意味深に笑っている。まだ、チーフに片思いをする前のことだ。

  あの頃は小西サブリーダーにこき使われて、帰りが遅くなって大変だった。

 それで会社の近くに引っ越そうと決めたんだ。

 今のマンションは駅と会社の間にあってとても便利な場所だ。

 雪が部屋を探していたら、チーフが棟違いに空きがあると勧めてくれた。

 内覧してみたら角部屋で家賃も手ごろだった。

 しかし、そこはチーフの住んでいるマンションとは棟違いで歩いて数分のところだったのだ。

 今思えば、何も考えず契約した雪がバカだった。それからは忙しい高原に何かといえば呼び出された。

 資料を持って行ったり、仕事を持ち帰らされたりがはじまった。

 完璧に利用されたと気づいた時には遅かった。

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