敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「こんな時間にパワハラじゃないか。訴えてやれよ。いい弁護士を紹介してやる」

「真司ったらパワハラなんかされてない。大切に育ててもらってる」

「雪、お前……」

「何?」

「その上司、まだ独身なのか?」

 探るような目で聞いてきた。チーフの話は付き合っていた時にもしていたから彼はよく知っている。

 イケメンなのに、交際相手がいない、仕事一筋の人だと話してあった。

「そう。相変わらずよ」

「恋人は?」

「恋人は……多分いない、かな?」

「多分って何だよ。ずっと近くで仕事をしていて知らないなんて変だろう」

「そういうのは、ほら、隠しているかもしれないし……」

 追及するような真司の目を反らす。さすがに偽カノとは言えない。

「それより、何か危険なことがあったらすぐに電話しろよ。副社長も知っているし、雪に何かあれば仕事中でも助けに行く」

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫。警備員もいるからね」
 
「とにかく気をけるんだぞ」

 真司は雪がマンションのエントランスへ入るのを見届けたあと、しばらくマンションをじっと見上げていたが、タクシーの運転手に声をかけられて帰って行った。
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