先輩の卒業♡
「さっき山下先輩にくださいって言ったら、断られたんです」
そう言われ、私も困ってしまう。

ポケットのボタンに触れてみる。

渡されただけだ……

たまたま近くにいたから。

「ムリだから…渡せない」
そう言って、早足でその場を立ち去った。

そうだ、ボタン欲しいって言う子を断ってたくらい、大事だったのに。
取れそうだったからって、もらっちゃって良かったんだろうか?

何か心配になる。
返すべきか?
でも、もうきっと先輩は制服着ないだろうし。

ポケットからボタンを取り出し、手の平に乗せた。

先輩が入学してから今日まで、このボタンはずっと先輩と一緒だったんだ。
何だか羨ましい。

体育館で必死にボールを追いかける先輩を、良く横目で見てた。

必死な顔が大好きだった。

先輩のドリブルする、ボールの音が想い浮かんだ。

学食でカレーを頬張る先輩。

朝礼や移動教室の時に、必死に先輩を探してたっけ。
いつも先輩を探してた。

挨拶すると、いつも笑顔だった。
それが嬉しくて。
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