悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~
「ねえ、あの人めっちゃ格好良くない?」
「なんか、怖そうだけど危険な感じが更にヤバい。てか、色気エグいんだけど」
「でも彼女いるよ。まじウザっ」
「どうせ遊ばれてるんでしょ。逆ナンしたらワンチャンいけたりして」
……こわい。
周りの視線が怖すぎる。
なんとなく予想はしていたけれど、外を歩けばそれ以上の殺気と嫉妬を含んだ視線が容赦無く襲いかかってきて。少しでも交わると、本当に襲われそうで、おちおち前を向いて歩くことが出来ない。
「櫂理君、やっぱりいつも以上にすごいね……」
当の本人は気付いているのか、いないのか。
普段と変わらない様子で颯爽と前を歩く姿に、少しだけ圧倒される。
「どうした?具合でも悪いのか?」
そんな私の顔を、心配そうな表情で覗いてくる櫂理君。
「ううん。そうじゃなくて、周りの視線が怖過ぎて前が向けないの」
とりあえず正直に現状を伝えてみたら、櫂理君は首を傾げて周囲を見渡す。
「よく分かんないけど、それなら腕に掴まれよ。下ばっかり見てたら危ないぞ」
そして、もう一度首を傾げた後、さりげなくエスコートをしてきて、不覚にも小さく心臓が跳ねた。
これだと、側から見たら本当にデートしているようで。そうなると、周囲の攻撃的な視線が益々強化されてしまうような……
「えと……うん。じゃあ、そうしようかな」
だけど、櫂理君の言う通り。
このまま下を見て歩くのも危ないし、ここは素直に甘えた方が良い気がして。
私はゆっくり頷くと、おそるおそる櫂理君の腕に自分の腕を回した。
それから、なるべく周囲と目を合わせないように、櫂理君に全てを委ねて歩いていたら、いつのまにか目的地に到着していたようで。
私はネット予約をした映画のチケットを発券するため、櫂理君を入り口付近に残し、発券機の前で並んだ。