青春恋愛ミッション
第4話 10年後再び
10年後、こうたは電子機器メーカーの社員の営業部で、その手腕を発揮していた。
オシロスコープの納入先を増やして販売数を増加させることが、こうたの目下の業務である。
薬学部を卒業までしたのに、なぜ門外漢の電子機器メーカーに就職したのか。
それは生業が雑貨店なので、それを継ぐまでにいろんな経験をしたいから。
こうたの部下には七海すみれ(ななみすみれ) 26歳がいた。
電子機器メーカーでのこうたの営業アシスタント。
素直でなんでもいうことを聞くフレッシュな新人のショートヘアー。
丸い目が愛らしい。
こうたにとって相棒のような存在。
いつも2人で行動するのが当たり前になっていた。
今月の営業先はオシロスコープがすでに納入されている先に、新しい製品の紹介と
メンテナンスの提案をする営業セールス業務である。
今日は月曜日。
訪問先の1校目が市内の山森工業大学であった。
こうた「新しくて、いい大学ですね」
「学生は礼儀正しいし、みんな優れていそう」
すみれ「将来を担う若い人たちには、こうあって欲しいものね」
広い大学構内の案内図を頼りに、電気電子エネルギー科の山田主任講師の研究室を尋ねた。
複雑な構内を歩き、ようやく講師室の前に来た。
ドアには山田講師が今この講師室には不在であることを示す案内板が掲示されている。
すみれ「不在....ですか」
「ううん...よく見てくださいよ」
「山田講師は今、第3実習室にいるっていう表示がありますよ」
こうた「ええと...第3実習室はと.......」
「あ、あった....」
案内図を探すと、この同じ棟の2階にあった。
すみれ「じゃあ、一緒にいきましょう」
エレベーターホールへと廊下を歩き始めた時、
廊下の向こうに黒縁メガネをかけた大柄な男性が歩いてきた。
服装は白生地に青色の刺繍で大学名と所属学科が読み取れる。
ブルーのハイライトが大学のユニフォームを際立たせている。
山田「いやー斉藤さん。すまんね。ちょっと今、手が離せなくて。」
こうた「紹介します。」
「こちら、我が社の営業アシスタントの「七海」です。
すみれ「初めまして。営業アシスタントの七海すみれです。」
こうた「こちらがこの電気電子エネルギー科の専任講師の山田講師です」
山田「こちらこそよろしく!」
山田「さっ、どうぞ、お入りください。」
こうた「では、失礼します。」
すみれとこうたは講師室のドアを静かに閉めた。
オフィスの新しい独特の雰囲気が二人の気を引き締めていた。
電子機器のメンテナンスはいつも通り時間内に終わった。
会社に帰って、この水曜日にある都市の販売代理店に出張予定の二人は早速その準備に取り掛かった。
その都市までは片道、鉄道で4時間かかるのであった。
こうたとすみれは切符の手配と、目的地までのルートなどを入念に調べていた。
オフィスの窓の外には桜が散った後の寂しさが見て取れた。
お昼休み、軽いランチを摂りながら、ぼんやりと「こうた」はその風景を眺めていた。
こうしてオフィスの窓の外を眺めていると、気が紛れて穏やかな気持ちになるのだった。
すみれ「準備できました!」
「現地では私が案内します。」
「主任は訪問先でのセールスに専念して下さい。」
「当日の現地の天候はあまり良くありません。」
「予定では日帰りですが、場合によると現地でホテルに泊まることになるかもしれません。」
「なので、現地市内のビジネスホテルを予約しておきました。」
「そのために予算は多めに確保してあります。」
こうた「よくやった。ありがとう。」
昼食抜きで頑張るすみれのお腹が少し鳴っていた。
こうた「大丈夫か。力が出ないだろ!!」
「ほら、おにぎりだ。」
「お昼ご飯用意してこなかったのか?」
すみれ「ええっ」
「じゃぁ、いただきます。」
すみれはこうたのおにぎりを満足そうに頬張った。
こうたのお手製のおにぎりはすみれにとって、こころがあたたく、優しさがすみれに
伝わるのだった。
すみれは夜間大学を8年かけてようやく卒業して、この電子機器メーカーに入社したのだった。
実家は個人経営の工具部品の卸業ですみれはその1番の末っ子であった。
すみれは小さい頃から親の努力を知っているので、社会に早く適応することができていた。
だから学費は自分で稼いで高校と大学に通うことに決めていた。
高校では、学校に登校する前に牛乳の宅配のアルバイトで学費を賄い、奨学金と合わせて
高校の学費に充てていた。
こうた「どうだ。美味しいだろ。」
すみれは「うんっ」と言いかけたが、即座にただして「はいっ、美味しいです。」
と頷きながら答えた。
こうた「そりゃよかった。」
「このご飯、もち米で作ったんだ」
すみれ「もち米...ですか」
「そう、普通の米と違って、うるち米という、赤飯やぼた餅や正月の鏡餅につかう、高い米なんだ」
すみれ「赤飯って、子供の頃にお祭りやお参りの時に美味しかったのを覚えていて、懐かしい気がします。」
「ぼた餅は、秋分の日におばあちゃんが作って、私にご馳走してくれるんです。」
「なんか、子供時代に返ったみたいです。」
こうた「でも、しっかり者だね、すみれさんは」
「大したもんだ」
「よくめげずに頑張れるもんだ」
すみれ「こう見えても、四大卒です。なんでも任せて下さい。」
こうた「俺が倒れた時には、頼んだよ」
すみれ「大丈夫です。心配ありません。任せて下さい。」
すみれは、おにぎり3個を平げた。
すみれ「ごちそうさま。」
こうた「また、おにぎり作ってくるな」
「美味しそうに頬張る姿を見て、嬉しくなったよ。」
こうたは、すみれの姿を自分の子供の頃の努力した姿に重ねることができたので、
共感を覚えていた。
こうたも子供の頃から努力家だった。
雑貨屋のたまごの運搬などは、荷物が重くて子供のこうたには全部運ぶのは不可能だった。
しかしそれだけに体力的に逞しくなっていった。
売上や仕入れの手伝いで仕入れや数量を把握するのにそろばんと暗算が早くできてみんなから頼りにされた。
雑貨屋の仕入れ商品がトラックで運搬され卸されてくるので、その様子を子供の頃から伺っていたこうたは、子供には何ができるのかと、疑心暗鬼していたことを思い出していた。
しかし子供はそんなことより普段の学校の学習の方が重要視されたので、課題や宿題を怠ることはできなかった。
オシロスコープの納入先を増やして販売数を増加させることが、こうたの目下の業務である。
薬学部を卒業までしたのに、なぜ門外漢の電子機器メーカーに就職したのか。
それは生業が雑貨店なので、それを継ぐまでにいろんな経験をしたいから。
こうたの部下には七海すみれ(ななみすみれ) 26歳がいた。
電子機器メーカーでのこうたの営業アシスタント。
素直でなんでもいうことを聞くフレッシュな新人のショートヘアー。
丸い目が愛らしい。
こうたにとって相棒のような存在。
いつも2人で行動するのが当たり前になっていた。
今月の営業先はオシロスコープがすでに納入されている先に、新しい製品の紹介と
メンテナンスの提案をする営業セールス業務である。
今日は月曜日。
訪問先の1校目が市内の山森工業大学であった。
こうた「新しくて、いい大学ですね」
「学生は礼儀正しいし、みんな優れていそう」
すみれ「将来を担う若い人たちには、こうあって欲しいものね」
広い大学構内の案内図を頼りに、電気電子エネルギー科の山田主任講師の研究室を尋ねた。
複雑な構内を歩き、ようやく講師室の前に来た。
ドアには山田講師が今この講師室には不在であることを示す案内板が掲示されている。
すみれ「不在....ですか」
「ううん...よく見てくださいよ」
「山田講師は今、第3実習室にいるっていう表示がありますよ」
こうた「ええと...第3実習室はと.......」
「あ、あった....」
案内図を探すと、この同じ棟の2階にあった。
すみれ「じゃあ、一緒にいきましょう」
エレベーターホールへと廊下を歩き始めた時、
廊下の向こうに黒縁メガネをかけた大柄な男性が歩いてきた。
服装は白生地に青色の刺繍で大学名と所属学科が読み取れる。
ブルーのハイライトが大学のユニフォームを際立たせている。
山田「いやー斉藤さん。すまんね。ちょっと今、手が離せなくて。」
こうた「紹介します。」
「こちら、我が社の営業アシスタントの「七海」です。
すみれ「初めまして。営業アシスタントの七海すみれです。」
こうた「こちらがこの電気電子エネルギー科の専任講師の山田講師です」
山田「こちらこそよろしく!」
山田「さっ、どうぞ、お入りください。」
こうた「では、失礼します。」
すみれとこうたは講師室のドアを静かに閉めた。
オフィスの新しい独特の雰囲気が二人の気を引き締めていた。
電子機器のメンテナンスはいつも通り時間内に終わった。
会社に帰って、この水曜日にある都市の販売代理店に出張予定の二人は早速その準備に取り掛かった。
その都市までは片道、鉄道で4時間かかるのであった。
こうたとすみれは切符の手配と、目的地までのルートなどを入念に調べていた。
オフィスの窓の外には桜が散った後の寂しさが見て取れた。
お昼休み、軽いランチを摂りながら、ぼんやりと「こうた」はその風景を眺めていた。
こうしてオフィスの窓の外を眺めていると、気が紛れて穏やかな気持ちになるのだった。
すみれ「準備できました!」
「現地では私が案内します。」
「主任は訪問先でのセールスに専念して下さい。」
「当日の現地の天候はあまり良くありません。」
「予定では日帰りですが、場合によると現地でホテルに泊まることになるかもしれません。」
「なので、現地市内のビジネスホテルを予約しておきました。」
「そのために予算は多めに確保してあります。」
こうた「よくやった。ありがとう。」
昼食抜きで頑張るすみれのお腹が少し鳴っていた。
こうた「大丈夫か。力が出ないだろ!!」
「ほら、おにぎりだ。」
「お昼ご飯用意してこなかったのか?」
すみれ「ええっ」
「じゃぁ、いただきます。」
すみれはこうたのおにぎりを満足そうに頬張った。
こうたのお手製のおにぎりはすみれにとって、こころがあたたく、優しさがすみれに
伝わるのだった。
すみれは夜間大学を8年かけてようやく卒業して、この電子機器メーカーに入社したのだった。
実家は個人経営の工具部品の卸業ですみれはその1番の末っ子であった。
すみれは小さい頃から親の努力を知っているので、社会に早く適応することができていた。
だから学費は自分で稼いで高校と大学に通うことに決めていた。
高校では、学校に登校する前に牛乳の宅配のアルバイトで学費を賄い、奨学金と合わせて
高校の学費に充てていた。
こうた「どうだ。美味しいだろ。」
すみれは「うんっ」と言いかけたが、即座にただして「はいっ、美味しいです。」
と頷きながら答えた。
こうた「そりゃよかった。」
「このご飯、もち米で作ったんだ」
すみれ「もち米...ですか」
「そう、普通の米と違って、うるち米という、赤飯やぼた餅や正月の鏡餅につかう、高い米なんだ」
すみれ「赤飯って、子供の頃にお祭りやお参りの時に美味しかったのを覚えていて、懐かしい気がします。」
「ぼた餅は、秋分の日におばあちゃんが作って、私にご馳走してくれるんです。」
「なんか、子供時代に返ったみたいです。」
こうた「でも、しっかり者だね、すみれさんは」
「大したもんだ」
「よくめげずに頑張れるもんだ」
すみれ「こう見えても、四大卒です。なんでも任せて下さい。」
こうた「俺が倒れた時には、頼んだよ」
すみれ「大丈夫です。心配ありません。任せて下さい。」
すみれは、おにぎり3個を平げた。
すみれ「ごちそうさま。」
こうた「また、おにぎり作ってくるな」
「美味しそうに頬張る姿を見て、嬉しくなったよ。」
こうたは、すみれの姿を自分の子供の頃の努力した姿に重ねることができたので、
共感を覚えていた。
こうたも子供の頃から努力家だった。
雑貨屋のたまごの運搬などは、荷物が重くて子供のこうたには全部運ぶのは不可能だった。
しかしそれだけに体力的に逞しくなっていった。
売上や仕入れの手伝いで仕入れや数量を把握するのにそろばんと暗算が早くできてみんなから頼りにされた。
雑貨屋の仕入れ商品がトラックで運搬され卸されてくるので、その様子を子供の頃から伺っていたこうたは、子供には何ができるのかと、疑心暗鬼していたことを思い出していた。
しかし子供はそんなことより普段の学校の学習の方が重要視されたので、課題や宿題を怠ることはできなかった。