前世での誓い
「新さん、そろそろ買い物行きたいです」
「えー。俺から離れたいの?」
「そういうわけじゃなくて。いや、少しはあってるけど」
もう自分で何を言ってるのか分からなくなってきて、新さんの腕の中で小さく慌てる。声にならないカラッとした笑い声が耳元で微かに聞こえると、頭を一撫でされて離れる。
「めっちゃ慌ててる(笑)…、行きましょうか」
「はい」
手を差し出されて、何の躊躇いもなく握った。今日は新さんにくっついていたい気分で、新さんからもらった言葉を素直に受け取りたかった。
終始手を繋いで、夢かと勘違いしてしまうほど幸せ。時々肩が触れると新さんが私の方を覗き込むように見てくるから、新さんと目を合わせると、垂れ目の子犬がくしゃっと笑う。
目的の買い物もできたし、新さんと付き合うこともできた。買い物の後、休憩がてらお茶をしていたら、〝さっきはちゃんと言ってなかったから〟と、告白された。もちろん返事は肯定的。公衆の面前でキスはできないと言われ、顔を真っ赤にさせられたけど、それも含めて幸せと思える。
お夏さんは、新之丞さんと堂々と会えなくて離れてしまったけど、現代の私は堂々と新さんに会えた。お夏さんの悔い、ここで果たせたかな。