愛なんて要らないから


「辛かったね」

「……っ、」

 辛かった。そっか、私は辛かったんだ。

 萌ちゃんのSNSを追いながら、ずっと不安な気持ちを抱えて過ごした半年間も、それが萌ちゃんの嘘ではなく本当だと知ったあの日も。

 自分が今、辛いのか悲しいのかもよく分からなくて、ただ胸が苦しかった。


 近くに話せる友人もいなかったから、誰にこの気持ちを話したらいいのかも分からなくて。

 皓太さんの一言で、自分が辛いことを自覚した途端、ポロリと頬に冷たいものが伝うのを感じた。


「……どうして」

 どうして、悠は私と付き合ったの?

 本当に私のことが好きだった?

 それなら、どうして裏切ったの?


「はる、会いたい……会いたいよっ」

 会うのは怖いのに、それでもやっぱり悠に会いたい。

 遠距離で会えないことには慣れていたけど、決して平気なわけじゃなかった。

 本当はずっと、悠に会いたかった。


 悠じゃない人の腕の中で、悠に会いたいと泣く私はやっぱり最低な人間なんだと思う。

 皓太さんの好意に甘えている私は、この人の気持ちを踏み躙っていることになるんだから。


 それでも、私はもう限界だった……。

 何も言わず、ただ優しく包み込んでくれるこの人の腕の中がどうしようもなく心地よくて、安心して。

 最低だとわかっていても、皓太さんの腕の中で涙を流すことを止められなかった。



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