婚約者の浮気が発覚したので、街の中心で「誰か私を貰って!」と叫んだら大物が釣れました
第19話 参りましょうかお姫様
コンコン…
軽く扉を叩いて現れたのは、夜会仕様に身を整えたリオネル。無駄に顔がいいので、こういった格好は目に悪い。
(眩しくて直視できない)
改めて王太子なんだと実感する。
「……」
「?どうしたんです」
リオネルが黙ったまま私を見下ろしているので、どうしたのかと声をかけた。
「いや……あまりにも綺麗で……見惚れていました」
「──ッ!?」
恥しそうに口ごもりながら言うものだから、こちらまで恥ずかしくなって顔が熱くなる。
(な、なんなの!?……調子が狂うじゃない……)
お互いに赤くなった顔を逸らし、いたたまれない雰囲気が漂う。
「あ~と、そろそろ行きましょうか?」
「そ、そうですね!」
気まずそうにしながらも、リオネルが口にしてくれて助かった。
「では、お姫様。参りましょう」
「~~~~~ッ」
差し出された手を取ると、夜会へと向かう為に部屋を出た。
女性のエスコートは手慣れているようで、歩幅も私に合わせてくれて慣れないヒールでも歩きやすい。
『私に貴女の一日をください』
そう言われた時は何を言っているのか分からなかった。
『私とデートしてください』
『は?』
『貴女が偽物とデートしたと聞きました。本物とはしていないのに、まさか偽物に先を越されるとは思ってもみませんでしたが……』
鋭く熱い視線に思わずゾクッとした。
それと同時に、あれをデートと呼ぶにはあまりにも雑過ぎないか?とも思う。だが、今そんな事を言ったらリオネルを焚きつけるだけだと、口をきつく噤んだ。
『今まで気づきませんでしたが、私は人一倍負けず嫌いで独占欲が強いみたいです。……意味分かりますか?』
『えっと……』
(ごめんなさい。分からない)
『妬いているんですよ。どうしようもないほどにね』
困ったような表情を浮かべているが、蛇のように絡みつくような視線で私を見てくる。その目に捕らわれてはこの人の思う壺。絶対に駄目だと思っても目が離せなせず、気づいた時にはリオネルの言葉を受け入れるようにコクンと頷いてしまっていた。
(……澄ました顔して……)
恨めしそうに隣を歩くリオネルに視線を向けた。
「どうしました?」
「なんでも。むかつく顔してるなと思っただけ」
「ふふ、誉め言葉ですか。嬉しいですね」
「……」
もはや返す言葉もない。
***
表向きは男爵主催となっているが、オズワルドの話は貴族の間で耳にしていない者はいない。そんな愚息の行為を知ってからの夜会。一体、どれほどの者が来るのだろうと思って来てみたが、思った以上に人が多い。
「思ったより人がいますね」
てっきり、ガラガラなのだと思っていたので正直驚いた。
「まあ、社交界と言うのはスキャンダルを糧としている者が多いですからね。大半は好奇心と興味本位でしょうね。純粋に夜会を楽しもうと来た者はいないでしょうね」
「悪趣味な奴ら」
「仕方ありませんよ。この世界はそういう欲求で成り立っているんです」
分らんでもないが、解りたくはない。
「ツェスカ!」
「オズワルド、様」
私の姿を見つけたオズワルドが駆け寄ってくる。
「来てくれてありがとう!」
嬉しそうに微笑む姿は、まだ婚約していた頃のオズワルドの姿を思い起こされ、言葉が詰まってしまう。
「あまり近付かないでもらえますか?」
オズワルドの視線を遮るように、リオネルが間に割って入ってくれた。
「ッ……おかしいですねぇ。殿下を招待した覚えはないんですが?」
一瞬狼狽えたが、すぐに噛み付くような言葉をかけてくる。
「今日の私は招待客ではありませんよ。彼女の護衛です」
「へぇ?王太子殿下を護衛に付けるなんて、随分と偉くなったみたいだねぇ?」
ギロッと睨まれビクッと肩が震えたが、その肩を優しくリオネルが抱き寄せた。
「いえ、私が勝手に付いてきたのです。大事な人は自分の手で護りたいと思いませんか?」
「……それは、僕がツェスカに危害を加える前提にしか聞こえませんが?」
「おや、それはすみません。言葉のあやですよ」
笑顔で睨み合う二人。周りの人らは「始まった!」と嬉々とした顔で私達を取り囲んでいた。
軽く扉を叩いて現れたのは、夜会仕様に身を整えたリオネル。無駄に顔がいいので、こういった格好は目に悪い。
(眩しくて直視できない)
改めて王太子なんだと実感する。
「……」
「?どうしたんです」
リオネルが黙ったまま私を見下ろしているので、どうしたのかと声をかけた。
「いや……あまりにも綺麗で……見惚れていました」
「──ッ!?」
恥しそうに口ごもりながら言うものだから、こちらまで恥ずかしくなって顔が熱くなる。
(な、なんなの!?……調子が狂うじゃない……)
お互いに赤くなった顔を逸らし、いたたまれない雰囲気が漂う。
「あ~と、そろそろ行きましょうか?」
「そ、そうですね!」
気まずそうにしながらも、リオネルが口にしてくれて助かった。
「では、お姫様。参りましょう」
「~~~~~ッ」
差し出された手を取ると、夜会へと向かう為に部屋を出た。
女性のエスコートは手慣れているようで、歩幅も私に合わせてくれて慣れないヒールでも歩きやすい。
『私に貴女の一日をください』
そう言われた時は何を言っているのか分からなかった。
『私とデートしてください』
『は?』
『貴女が偽物とデートしたと聞きました。本物とはしていないのに、まさか偽物に先を越されるとは思ってもみませんでしたが……』
鋭く熱い視線に思わずゾクッとした。
それと同時に、あれをデートと呼ぶにはあまりにも雑過ぎないか?とも思う。だが、今そんな事を言ったらリオネルを焚きつけるだけだと、口をきつく噤んだ。
『今まで気づきませんでしたが、私は人一倍負けず嫌いで独占欲が強いみたいです。……意味分かりますか?』
『えっと……』
(ごめんなさい。分からない)
『妬いているんですよ。どうしようもないほどにね』
困ったような表情を浮かべているが、蛇のように絡みつくような視線で私を見てくる。その目に捕らわれてはこの人の思う壺。絶対に駄目だと思っても目が離せなせず、気づいた時にはリオネルの言葉を受け入れるようにコクンと頷いてしまっていた。
(……澄ました顔して……)
恨めしそうに隣を歩くリオネルに視線を向けた。
「どうしました?」
「なんでも。むかつく顔してるなと思っただけ」
「ふふ、誉め言葉ですか。嬉しいですね」
「……」
もはや返す言葉もない。
***
表向きは男爵主催となっているが、オズワルドの話は貴族の間で耳にしていない者はいない。そんな愚息の行為を知ってからの夜会。一体、どれほどの者が来るのだろうと思って来てみたが、思った以上に人が多い。
「思ったより人がいますね」
てっきり、ガラガラなのだと思っていたので正直驚いた。
「まあ、社交界と言うのはスキャンダルを糧としている者が多いですからね。大半は好奇心と興味本位でしょうね。純粋に夜会を楽しもうと来た者はいないでしょうね」
「悪趣味な奴ら」
「仕方ありませんよ。この世界はそういう欲求で成り立っているんです」
分らんでもないが、解りたくはない。
「ツェスカ!」
「オズワルド、様」
私の姿を見つけたオズワルドが駆け寄ってくる。
「来てくれてありがとう!」
嬉しそうに微笑む姿は、まだ婚約していた頃のオズワルドの姿を思い起こされ、言葉が詰まってしまう。
「あまり近付かないでもらえますか?」
オズワルドの視線を遮るように、リオネルが間に割って入ってくれた。
「ッ……おかしいですねぇ。殿下を招待した覚えはないんですが?」
一瞬狼狽えたが、すぐに噛み付くような言葉をかけてくる。
「今日の私は招待客ではありませんよ。彼女の護衛です」
「へぇ?王太子殿下を護衛に付けるなんて、随分と偉くなったみたいだねぇ?」
ギロッと睨まれビクッと肩が震えたが、その肩を優しくリオネルが抱き寄せた。
「いえ、私が勝手に付いてきたのです。大事な人は自分の手で護りたいと思いませんか?」
「……それは、僕がツェスカに危害を加える前提にしか聞こえませんが?」
「おや、それはすみません。言葉のあやですよ」
笑顔で睨み合う二人。周りの人らは「始まった!」と嬉々とした顔で私達を取り囲んでいた。