婚約者の浮気が発覚したので、街の中心で「誰か私を貰って!」と叫んだら大物が釣れました
第8話 女を磨いて一昨日来やがれ
三人の女性は、リオネルに気が付くと足を止めてこちらへ近付いてきた。
「今日のお相手はそちらの方?」
「えぇ?私達と遊びましょうよ」
「見たところ、大したものもお持ちでないようですし…」
(はぁ?)
三人が三人とも値踏みするように、つま先から頭のてっぺんまでまじまじと見てくる。
リオネルの遊び相手なだけあって、どいつもこいつも胸を強調した露出の多い服や、身体の線を強調した服を着ている。華やかだと言えば聞こえはいいが、祭りの場にこの装いは単純に男を誘っているとしか思えない。
「ねぇ、殿下。あちらでゆっくり月見酒でもしましょう?」
「ちょっと、殿下は私と一緒よ」
「あら、お二人とも殿下には飽きたと言っていたじゃない」
「「そんなこと言ってないわよ!」」
リオネルを前に、醜い争いが勃発。まさか、物語の中でしか見た事のないような現場に居合わせる事があるなんて……関係者じゃなければメシウマ状態だった。
「お誘い頂いて申し訳ないのですが、この身は既にツェスカのもの……ツェスカもまた、私のもの。彼女を悲しませるような事はしないと決めたのです」
「「え?」」
私を愛おしそうに見つめながら言うリオネルに、三人とも信じられないとばかりに私を凝視してくる。
少し大袈裟で語弊はあるものの、この場を穏便に済ませるには否定はもちろん、反論もしない方がいい。
「は、はは……殿下ったら、冗談が過ぎますわ」
「そうよ!そこの女が私達よりいい女な訳ないもの!」
「どうせ、殿下の容姿と肩書きに釣られただけの女ですわ」
(はぁ?)
随分好き勝手言ってくれているが、そっくりそのまま返してあげるわ。
苛立ちで額に青筋が浮かび上がる。言い返してやりたいが、リオネルが止めるように手を前に出しているので言い返す事が出来ない。
「そこの女がどこの者か知りませんが、騙されてはいけません」
「薄汚い女狐から私が護ってあげますよぉ」
「さあ、殿下。私達と参りましょう?」
一人がリオネルの手を取ろうとしたが、パンッ!とその手が弾かれた。
「え?」
まさか拒絶されるとは思わなかった女性は、顔を引き攣らせながらリオネルを見ている。
「まったく……穏便に済ませたかったんですけどね」
目を細めて微笑むリオネルからは、穏便なんて言葉は似つかわしくないほどの威圧感がある。
「誰が私の肩書きだけを見てないと?女狐とは誰のことでしょう?私が騙される?……は、随分舐められたものだ」
女性らは、初めて見るリオネルの態度に顔面蒼白になりながら体を縮こませている。
「薄汚い女狐というのならば、君たちの方だ。男の目しか気にしていない品のない装い……恥ずかしいと思いませんでした?」
「「ッ!!」」
リオネルに指摘されるとカッと顔を赤らめた。
「な、何よ!殿下だって喜んでいたじゃない!」
三人の中でも気の強そうな一人が声をあげると、他の二人も同調するように声を上げた。
「そうですわ!私の胸を好きだと仰ったじゃない!」
「私のお尻も!」
(うわぁ……最っ低)
分かっちゃいたけど、下衆もここまで来れば立派なもの。
苦虫を噛み潰したようなと言う表現は生ぬるい。これは汚物だ汚物。
「……その眼は辞めてください」
「あぁ、この目に映す価値もないと?ご自分の価値を良くご存知で」
それは失礼。とリオネルから目を逸らし、体の向きを変えようとすると、肩に手が伸び掴まれた。
「すみません。前言撤回します。どんなに蔑んでもいいので、その眼に映してください」
そう言われたら仕方ない。
「わたくし……殿下にならと、全てを捧げて参りましたのに……」
「私もよ」
「いずれ私を婚約者にしてくれるんじゃなかったの……?」
同情を誘うように汐らしく言葉を詰まらせながら語り始めた。
まあ、王太子と言う最強カードに目が眩んだのだろうが、相手がリオネルじゃ、少しだけ同情は出来る。
「そもそも、そんな冴えない女の何処がいいのよ!」
「殿下ってブス専?」
「こら。ダメよ。そんな本当の事言っては失礼でしょう?」
窘めているように聞こえるが、クスクスと笑っている時点で悪意しかない。
(……同情して損した)
他人を見下す奴は他人から見下されて当然。
「私が口出す問題じゃないとは思いますが、遊び相手はちゃんと選んだ方が良いですよ」
「「はぁ!?」」
リオネルだけに聞こえるように言ったつもりだったが、思いのほか地獄耳だったらしく、声を荒らげてきた。
「なぁに?私達に勝ったつもり?」
「アンタなんて、暇つぶしの玩具みたいなものでしょ?」
「あら、暇つぶしにもならないかもしれませんよ?貴方じゃ殿下を悦ばせることは難しいのでは?」
分かり易く胸に視線を向けながら言いやがって……流石にここまで馬鹿にされて言い返さないのは女が廃る。
「……黙って聞いてりゃベラベラと……」
ボソッと呟き、三人を睨みつけた。
「さっきから人を馬鹿にしてますけど、貴方がたはなんです?神かなんかですか?」
「「は?」」
「いやぁ、そうですよねぇ。神ぐらい人間離れしていないと、そんな格好では恥ずかしくて外を歩けませんものねぇ?……鏡、見た方がいいですよ?」
「「ッ!!」」
目を細めて見下すように教えてやる。リオネルだけならまだしも、私にまで言われたのが屈辱でならないのだろう。怒りで顔が歪んでいる。射殺すように睨みつけてくるが、この程度で黙るような弱い子じゃない。
「……貴方、私達にそんな口を聞いていいと思ってるの?」
「出た出た。都合が悪くなったらパパに助けてもらうの?パパがいなきゃ何も出来ないなんて……ださ」
「なッ!」
身分が高い奴は大抵父親の名前を出せば生意気な奴を黙らせることができると思っている節がある。残念ながら、今の私は最強。なぜなら……
「彼女には私がいるという事をお忘れで?」
見せつけるようにリオネルが私の肩を抱き寄せた。
そう。私にはこの国の王太子リオネルがバックに控えている。これ以上の無敵カードはない。
「ま、そう言う事。残念だったわね」
勝ち誇ったように笑顔で言うと、悔しそうに顔を歪め睨みつけてくる。
「……覚えておきなさい……」
「負け犬ほどよく吠えるってね……女を磨いて一昨日来やがれ」
吐き捨てるように言い、リオネルに肩を抱かれたまま華麗にその場を後にした。
「今日のお相手はそちらの方?」
「えぇ?私達と遊びましょうよ」
「見たところ、大したものもお持ちでないようですし…」
(はぁ?)
三人が三人とも値踏みするように、つま先から頭のてっぺんまでまじまじと見てくる。
リオネルの遊び相手なだけあって、どいつもこいつも胸を強調した露出の多い服や、身体の線を強調した服を着ている。華やかだと言えば聞こえはいいが、祭りの場にこの装いは単純に男を誘っているとしか思えない。
「ねぇ、殿下。あちらでゆっくり月見酒でもしましょう?」
「ちょっと、殿下は私と一緒よ」
「あら、お二人とも殿下には飽きたと言っていたじゃない」
「「そんなこと言ってないわよ!」」
リオネルを前に、醜い争いが勃発。まさか、物語の中でしか見た事のないような現場に居合わせる事があるなんて……関係者じゃなければメシウマ状態だった。
「お誘い頂いて申し訳ないのですが、この身は既にツェスカのもの……ツェスカもまた、私のもの。彼女を悲しませるような事はしないと決めたのです」
「「え?」」
私を愛おしそうに見つめながら言うリオネルに、三人とも信じられないとばかりに私を凝視してくる。
少し大袈裟で語弊はあるものの、この場を穏便に済ませるには否定はもちろん、反論もしない方がいい。
「は、はは……殿下ったら、冗談が過ぎますわ」
「そうよ!そこの女が私達よりいい女な訳ないもの!」
「どうせ、殿下の容姿と肩書きに釣られただけの女ですわ」
(はぁ?)
随分好き勝手言ってくれているが、そっくりそのまま返してあげるわ。
苛立ちで額に青筋が浮かび上がる。言い返してやりたいが、リオネルが止めるように手を前に出しているので言い返す事が出来ない。
「そこの女がどこの者か知りませんが、騙されてはいけません」
「薄汚い女狐から私が護ってあげますよぉ」
「さあ、殿下。私達と参りましょう?」
一人がリオネルの手を取ろうとしたが、パンッ!とその手が弾かれた。
「え?」
まさか拒絶されるとは思わなかった女性は、顔を引き攣らせながらリオネルを見ている。
「まったく……穏便に済ませたかったんですけどね」
目を細めて微笑むリオネルからは、穏便なんて言葉は似つかわしくないほどの威圧感がある。
「誰が私の肩書きだけを見てないと?女狐とは誰のことでしょう?私が騙される?……は、随分舐められたものだ」
女性らは、初めて見るリオネルの態度に顔面蒼白になりながら体を縮こませている。
「薄汚い女狐というのならば、君たちの方だ。男の目しか気にしていない品のない装い……恥ずかしいと思いませんでした?」
「「ッ!!」」
リオネルに指摘されるとカッと顔を赤らめた。
「な、何よ!殿下だって喜んでいたじゃない!」
三人の中でも気の強そうな一人が声をあげると、他の二人も同調するように声を上げた。
「そうですわ!私の胸を好きだと仰ったじゃない!」
「私のお尻も!」
(うわぁ……最っ低)
分かっちゃいたけど、下衆もここまで来れば立派なもの。
苦虫を噛み潰したようなと言う表現は生ぬるい。これは汚物だ汚物。
「……その眼は辞めてください」
「あぁ、この目に映す価値もないと?ご自分の価値を良くご存知で」
それは失礼。とリオネルから目を逸らし、体の向きを変えようとすると、肩に手が伸び掴まれた。
「すみません。前言撤回します。どんなに蔑んでもいいので、その眼に映してください」
そう言われたら仕方ない。
「わたくし……殿下にならと、全てを捧げて参りましたのに……」
「私もよ」
「いずれ私を婚約者にしてくれるんじゃなかったの……?」
同情を誘うように汐らしく言葉を詰まらせながら語り始めた。
まあ、王太子と言う最強カードに目が眩んだのだろうが、相手がリオネルじゃ、少しだけ同情は出来る。
「そもそも、そんな冴えない女の何処がいいのよ!」
「殿下ってブス専?」
「こら。ダメよ。そんな本当の事言っては失礼でしょう?」
窘めているように聞こえるが、クスクスと笑っている時点で悪意しかない。
(……同情して損した)
他人を見下す奴は他人から見下されて当然。
「私が口出す問題じゃないとは思いますが、遊び相手はちゃんと選んだ方が良いですよ」
「「はぁ!?」」
リオネルだけに聞こえるように言ったつもりだったが、思いのほか地獄耳だったらしく、声を荒らげてきた。
「なぁに?私達に勝ったつもり?」
「アンタなんて、暇つぶしの玩具みたいなものでしょ?」
「あら、暇つぶしにもならないかもしれませんよ?貴方じゃ殿下を悦ばせることは難しいのでは?」
分かり易く胸に視線を向けながら言いやがって……流石にここまで馬鹿にされて言い返さないのは女が廃る。
「……黙って聞いてりゃベラベラと……」
ボソッと呟き、三人を睨みつけた。
「さっきから人を馬鹿にしてますけど、貴方がたはなんです?神かなんかですか?」
「「は?」」
「いやぁ、そうですよねぇ。神ぐらい人間離れしていないと、そんな格好では恥ずかしくて外を歩けませんものねぇ?……鏡、見た方がいいですよ?」
「「ッ!!」」
目を細めて見下すように教えてやる。リオネルだけならまだしも、私にまで言われたのが屈辱でならないのだろう。怒りで顔が歪んでいる。射殺すように睨みつけてくるが、この程度で黙るような弱い子じゃない。
「……貴方、私達にそんな口を聞いていいと思ってるの?」
「出た出た。都合が悪くなったらパパに助けてもらうの?パパがいなきゃ何も出来ないなんて……ださ」
「なッ!」
身分が高い奴は大抵父親の名前を出せば生意気な奴を黙らせることができると思っている節がある。残念ながら、今の私は最強。なぜなら……
「彼女には私がいるという事をお忘れで?」
見せつけるようにリオネルが私の肩を抱き寄せた。
そう。私にはこの国の王太子リオネルがバックに控えている。これ以上の無敵カードはない。
「ま、そう言う事。残念だったわね」
勝ち誇ったように笑顔で言うと、悔しそうに顔を歪め睨みつけてくる。
「……覚えておきなさい……」
「負け犬ほどよく吠えるってね……女を磨いて一昨日来やがれ」
吐き捨てるように言い、リオネルに肩を抱かれたまま華麗にその場を後にした。